第5章 優しさにも色々な種類がある
『…なんですか』
「…ちっとは女らしくなんじゃねーの?」
『余計なお世話ですよ!…それに女らしさなんてあったって意味ないんです。…強くならなきゃ意味がない』
俯いて両手をぎゅっと握った
『副長に…お前は弱いって言われました』
「…」
『勿論自分が強いなんて思っちゃいませんよ…。ただ、2年前から何も変わっていなかったんだって思うと…悔しくて』
沖田隊長は溜息をついて皿の上の団子を食べた
「だからオメェは牛とか言われるんでさァ」
『いや言われたことないんですけど。
ていうかそれ私の団子なんですけど』
沖田隊長は当たり前のように団子を食べながら言った
「何も変わってねーわけねェだろィ」
『え?』
「現にお前は今一番隊にいるじゃねーか」
『!』
「お前は誰かを護る為に強くなろうとしてんだろィ、平河みてぇに…なら変わってなくなんかねぇよ」
そう言って団子の串を咥えながら沖田隊長は空を見上げる
『沖田隊長たまに良いこと言いますね』
「あぁ冥土の土産でィ」
『いや死にませんから!!』
不思議だ…さっきまであんなに落ち込んでたのに
今はとても心が温かい。
「ま、精々油断しねーように気をつけなせェ」
『はいっ、見てて下さい沖田隊長!絶対成功してみせますよ!』
そう言って笑うと沖田隊長が突然私の手首を掴んだ
『わっ』
そのまま勢いよく押し倒され、
『ッ!いきなり何すんです…か』
至近距離で私を見下ろす沖田隊長と目が合う
「大石…」
『な、何して…や、ちょッ!』
私の首筋に顔を埋める沖田隊長を必死に押し退けようとするが力が入らない
『ちょ、やだやだ!!何してんですか沖田隊長!!』
一度離れたかと思いきや今度はゆっくりと顔を近づけてきた
あ…暑い重い痛い暑ィイイ!!
「なーんてな、」
『…え』
「見回り行ってくる」
『は?』
サッと私から離れると彼は鍵を持って立ち上がった
「相手は婦女誘拐犯でィ、いつ何時テメェが襲われるかわかんねーぜィ」
お、襲われるって!
『そ、そんなヘマはしません!』
そう言って叫ぶと沖田隊長は手を振りながら歩いて行った
び、びっくりしたぁ…。
ふと自分の着物に目を向ける
き、着崩れしてる!!
『ま、まさか…』
嫌がらせかこのやろぉおお!!