第23章 災難は1度や2度じゃ終わらない【真選組女中編②】
「はぁ?真選組隊士じゃなくなった!?」
『ぎ、銀さん声がでかい!』
「あ…」
「ん?オイ銀時、真選組隊士がどうかしたのか?」
銀さんの言葉に反応した桂がこちらに振り向き言った
『あっ!いえ、真選組の追跡から無事逃れられて良かったなぁって!!』
「…あぁそうだな。そなたもよく付いてきてくれた。やはり攘夷志士の素質がそなたには備わっているのかもしれん」
いやアンタに強制的に連れて来られただけなんですけど!
終始澄ました顔の桂に苛立ちを覚えていると銀さんが私の袴の袖を引っ張った
「オイ結衣、マジでヅラの奴お前に気づいてねェの?」
『そう、初対面で自分のファンだと思い込んでるみたい。ムカつくでしょ』
「ふーん……で、ちなみに偽名は?」
『…餡蜜の…蜜子』
「ブッっ!」
ボソッと呟いた名前に銀さんは予想通り吹き出した
『仕方ないの!咄嗟にいい名前が思いつかなかったんだから!』
「だからって…おまックク…蜜子って!」
『笑い過ぎ』
目に涙を浮かべお腹を押さえる銀さんに溜息をつく
「まぁけど、真選組隊士じゃなくなったっつーことはただの一般人ってのもあながち間違いでは無いわけだろ」
『えっ…そ、それはそうだけど…』
「じゃあ良かったじゃん!元々俺はお前が隊士になることには反対だったし、どうせ辞めるならこの機会に綺麗さっぱりとってな!いやぁにしても目出度ェな~」
『いや全然何も目出度くないから!人がヘコんでるのに何隣で堂々と喜んでるんですか!』
私の肩を叩きながら笑う銀さんに眉を顰めた
『それに…隊士じゃなくなったって言っても真選組を辞めたわけじゃないし…』
私の言葉に銀さんは"えっ?"と目を丸くして私を見つめた
「じゃあお前…今あそこで何してんの?」
『じょ、女中…』
「あ…
あのV字野郎ぉぉお!!結衣を家政婦扱いしやがって許さねェ!!」
『ちょ、違うよ銀さん!』
「あ"ん?」
今にも副長のもとへ殴り込みに行きそうな銀さんを慌てて制止すると物凄い形相で睨まれた
『そもそもは局中法度に背くような行いをした私がいけないの…本来なら切腹を命じられてもおかしくなかったんだから…』
「へェ………にしても沖田くんも納得してんだ、それ」
『うん…』
「…。」
俯く私を銀さんは無表情で見つめる
