第23章 災難は1度や2度じゃ終わらない【真選組女中編②】
『…』
「…」
「…」
長椅子に向かい合わせで座る銀さんと私と桂
息が詰まりそうな空間の中で最初に口を開いたのは銀さんだった
「…で、何この状況」
『…わかりません』
そう、それは私が聞きたいくらいだ。
どうしてこんなことになったんだろう…。
もう回想するのも説明するのもめんどくさい。
ただ1つ言えるのは、ここまで来たら何が何でも私が真選組隊士だということを桂に気づかれないようにしなくちゃいけないということだ。
「つかさ、これどういう組み合わせ?何で攘夷志士と真せ…」
『新鮮んんんん!!ま、まさかあの伝説の攘夷志士の桂さんに会えるなんてホント新鮮ですよねー!!!』
さっそく私の正体を言ってしまいそうな銀さんの言葉を慌てて遮り、彼を部屋の隅に引っ張った
「痛ってーな、何だよ」
『お願い銀さん!私が真選組隊士だってことは今だけは内緒にして下さい!!』
「はぁ?」
頭にハテナを浮かべる銀さんに事情を説明すると彼は更に眉間に皺を寄せた
「なるほど…つまりヅラはお前が真選組隊士の大石結衣だってことに気づいてなくて、お前はそのことを利用し奴の情報を探ろうと試みるも今度は奴から逃げられない状況になった…と」
簡潔にまとめてくれた銀さんの言葉に頷くと「アホか」と言ってデコピンされた
「刀もねェくせに何でさっさと逃げなかったんだよ。アイツに関わるとめんどくせーことになるのは分かりきってることだろうが」
『そ、そんなこと言われたって…捕まった時は拘束されてたし頭も怪我してたから…』
「頭怪我したってお前…まさかその包帯…」
言いながら私の頭に巻かれた包帯に手を伸ばす銀さん
『あ、でも今は手当てもされてるし全然大丈夫だよ!…ていうか銀さんこそ何で私が刀持ってないって知ってるの?』
「まぁそんくらい見りゃわかんだろ…。隊服じゃねェの見る限り仕事はオフだろうが、役人なら刀くらい常に腰に差しとけよな」
『あ…えっと…その事なんだけど…』
言いながら顔を歪める私を銀さんは不審な目で見つめる