第23章 災難は1度や2度じゃ終わらない【真選組女中編②】
「御用改めである!桂ァァアア!神妙にお縄につきやがれぇえ!」
「チッ、やはり来たか真選組」
しめた!この騒ぎに乗じて隊士の誰かに接触出来ればここから抜けられる!!
煙の舞う部屋の中、黒の隊服を目印に駆け寄ろうとしたところ桂に腕を掴まれ阻まれてしまった
「みっちー殿ここは危険だ。早く安全な場所に隠れていろ」
『あ…いや私はッ…!』
くっ…あと少しなのにッ!
もう、バレてもいいから…
『私は…ここにいるべき人間じゃない!』
「!」
戻らなくちゃ…
『剣のない私が彼らの役に立てるなんて思わない!でも剣を振り回すだけが侍じゃない!』
みんなの…
「…」
平河隊長の…
『手を離してください…』
沖田隊長のところに…。
「奴らの中に自ら………もしやそなたはッ!」
『…』
「攘夷志士になりたいのか」
え…
『はぁああ!?いや違ッ』
「いや、皆まで言うな。女子ゆえに戦は嫌いなものと思っていたが…そなたの言う通り、剣術を志す者に女も男も今や関係ない」
『ちょ、ちょっと待って!私は別に攘夷志士には…』
「何となくだが、そなたからはあの男と似たような魂を感じる」
驚く程噛み合わない会話に困惑していると桂は再度私の腕を強く掴み窓から外に飛び出した
『ぎゃあああ!!ちょ、人の話聞いてた!?手ェ離して下さいって言ったんですけど!』
必死の抵抗も虚しく、真選組の追跡から逃げる桂に腕を引かれ同じように屋根の上を走らされた
「そなたの志は誠のものとみた。本当は即採用…と言いたいところだが面接は来週なのでな、今日は詫びも兼ねて特別に攘夷志士の活動の様子を間近で見学させてやろう」
『いや何でそーなるのぉおお!?』
ほんと会ってから1度も人の話聞いてないよこの人!!
『ていうかっ…これ、どこ行くんですか!?』
「見学と言っても基本的には移動が多い。ちなみにこの襲撃も想定内だ」
『予定通り!?』
「まずは奴の所に行く」
『え、奴?』
「俺達には無くてはならん男だ…気になるだろう?」
『いやだから激しく興味な…!』
いや…でもこれは寧ろ敵の情報や今後の動きを知るチャンスなんじゃ…。
それに"奴"ってのも気になる…桂の仲間で私達真選組の強敵になる男かもしれないし。
とりあえず、このままもう少し様子を見てみよう。
