第23章 災難は1度や2度じゃ終わらない【真選組女中編②】
「…それで下の名は何というのだ?」
『み、蜜子!…』
勢いで叫んだ名前に様子を見ていた浪士達は一斉に吹き出した
『わ、私の名前は大石蜜子と言います!』
そう、咄嗟に考えた名前は私の好きなもの…つまり餡蜜の蜜から取った蜜子だ
壊滅的な私のネーミングセンスに笑う浪士達には少し腹が立ったが、そもそも何で餡蜜なんだと自分でも思うくらいだからこの際気にしない。
「大石…蜜子だと!」
桂は顔の引き攣る私を見つめ眉間に皺を寄せる
けどさすがにやっぱりこんな適当につけた名前じゃ誤魔化すのは無理があったかな…。
しばらくの睨み合いの後、桂は再度腕を組み納得したように頷いた
「うむ、良い名前ではないか!」
奇跡だ!奇跡のバカがここに!!
「俺は桂小太郎だ。まぁ俺のファンであるそなたなら知っているとは思うが…」
『知ってますけどファンじゃないです』
この男ッ…相変わらず私のことを思い出す気は微塵もないのか!
「まぁ普段はそなたら市民の平和、国の平和を護る為の活動を行っている…。ちなみに次の面接は来週火曜の昼からだ」
『何で面接日程言った!?絶対行かないから面接なんて!!』
「こんな出逢い方ではあるが、これも何かの縁かもしれん。今後ともよろしく頼むぞ」
『いやぁでもあの、出来たら私との出逢いは今日で記憶から抹消していただけると有難いかなぁなんて…』
「ではさっそく呼び方を決めよう。」
『あれ、無視ですか』
「みっちゃん、みつにゃん、みつりん…どれがいい?」
いやそんなの激しくどうでもいいから早くここから解放しろ!!
「…俺はこういう名前に関しては少々うるさくてな…ニックネームなどは特によく考えた方が良いぞ」
『えー…もう、じゃあ"みっちゃん"で』
「うむ、よろしくな"みっちー"」
聞いた意味!!
もうなんか敵としてじゃなく個人的に殴りたい、激しく!
意味の無い会話ばかりで話も状況も一向に進まず途方に暮れていると、突然部屋の奥の方から浪士たちの騒ぐ声が聞こえてきた
「桂さん!大変です!!」
奥にいた浪士の1人が慌ててこちらにやって来た
「どうした!」
「真選組です!たった今奴らが乗り込んで来ました!!」
『!』
真選組…!