第23章 災難は1度や2度じゃ終わらない【真選組女中編②】
その後桂1人のせいで室内は急に慌ただしくなった
『あの…私もう帰ってもいいですか、上司におつかい頼まれてるんで』
…もういいや。
確かにこの状況は桂を捕まえるには絶好の機会だし副長や沖田隊長にも桂は見つけ次第何が何でも捕まえろと普段から言われてるけど、今は刀も無いし…頭も痛いし。
それに…また下手に動いて失敗して今度こそ真選組を辞めさせられるなんてことになったらそれこそ一巻の終わりだもんね。
ここは大人しく、何も見なかったという事にして…
「まぁ待て」
そーっと部屋から出ようとしたところを桂に呼び止められた
「この度はウチの部下がそなたを真選組女隊士などと勘違いをして大変失礼した」
いや勘違いしてるのアンタ1人だけなんですけど!
「是非とも何か詫びをしたいのだが…」
『いやいやいやそんなお詫びとか別に大丈夫ですから!!あの私本当に急いでるんで!!このまま何事も無く無事家に帰らせていただけたらそれだけで満足ですから!!』
「な、何と!勘違いされ怪我まで負わされたにも関わらず礼を受けんと申されるか!!」
だから勘違いしてんのあんたでしょーが!
『はい…それにお仕事の邪魔になってもいけませんし…ね!』
「しかしそれでは俺の気が済まぬ…」
私の言葉に桂は腕を組み頭を悩ませる
いやいやいやほんとに大丈夫だって!変な所真面目だなもう!!
「そう言えばさっきからずっと気になっていたことがあるのだが…」
そう言って真剣な表情で私を見つめる桂に冷汗を掻きながら彼の次の言葉を待った
「そなた……
名は何だ?」
今更!?
普通そういうのは最初に聞くもんじゃないの!?
『私の名前は大石…』
言いかけた次の瞬間、私は慌てて自身の口を塞いだ
そうだ!桂は私が真選組隊士だってことに気づいてないんだった!
もしここで本名を言ってしまったら確実にバレて袋の鼠になってしまう。
それだけは何としても避けなければ!
でも
「大石…何だ?」
『えっと…』
どうしよう…名前なんてそんなすぐには思いつかないよ。
おそらく事情を知っているだろう浪士達に目で助けを求めるが関わりたくないのか、全員に一斉に顔を逸らされた
1字変えだけじゃすぐバレる可能性あるし…こういうのって何か好きな物から取ったりしてみたら…。
好きな…もの。
