第22章 立場が変わって初めてわかることもある【真選組女中編①】
それから私は杏子ちゃんの間違った情報を全て訂正し、何とか誤解を解くことが出来た
「なんだぁ良かった…私はてっきり失恋の痛みで落ち込んでるのかと思いましたよ」
『いや逆に何がどうしてそういう風に思ったのか気になるんだけど…』
「てことは結衣さんは真選組を辞めるわけではないんですよね!」
杏子ちゃんの言葉に頷き目の前の景色を見つめる
『うん…辞めないよ。それどころか以前より俄然やる気になった!』
「やる気…ですか」
『…杏子ちゃん?』
俯く彼女を見つめていると突然杏子ちゃんは先程の近藤さんと同じように「あっ!」と言ってその場から立ち上がった
「すみません結衣さん!私この後会議があるの忘れてました」
『あ、それってさっき近藤さんが言ってた護衛任務のやつかな?でも確か隊士全体の会議は隊長格の後じゃなかったっけ』
「ええ、そうなんですけどその前に副長に煙草を買って来るように言われてて…」
煙草って…土方さん杏子ちゃんのこと小姓か何かと勘違いしてるんじゃないのかな…。
「それと…」
『?』
「うっかり何のメーカーか聞くの忘れちゃって……結衣さんなら副長の好きな煙草のメーカーが何かわかるかなって思ったんですけど…」
『んー…土方さんはその日の気分によって変わるからなぁ…』
「えっめちゃめちゃ面倒じゃないですかそれ!
どうしよう…会議までそんなに時間ないのに…」
そう困ったように頭を悩ませる杏子ちゃん
『じゃあそれ…私行こうか?』
「えっ、でも…」
『大丈夫。どうせ私この後暇だし…じっとしてても落ち着かないから丁度気晴らしに外に散歩でもしてこようかなって思ってたところなんだ』
「あ…じゃあ…すみません。お願いしてもいいですか?」
『うん!まかせて!!』
杏子ちゃんに頷いてこの場から去ろうと腰を上げる
『じゃあ、会議頑張ってね』
「はい…あ、あのっ結衣さんも気をつけて下さいね」
後ろで叫ぶ杏子ちゃんに手を振って私は屯所を後にした