第22章 立場が変わって初めてわかることもある【真選組女中編①】
あぁ…ほんと自分の駄目さ加減には嫌になるなぁ。
昼下がりの縁側に腰掛け、庭の方をぼーっと眺めていると突然後ろから誰かに肩を叩かれ振り向いた
「お疲れ、結衣ちゃん」
『!近藤さん…』
「休憩中かい?」
『いえ、今日はもう終わりなんですけど…他に大してすることも無くて…』
「そっか。まぁ確かに隊士してた頃の方が仕事に追われて日々忙しかったもんなぁ」
言いながら近藤さんは私の隣に腰を下ろした
『あの…今朝はすみませんでした。なんかパンツがあれだったもんで…びっくりしちゃって』
「いや、何も謝ることはないぞ!誰だって初めてのことには驚くもんさ。全然気にすることはない!」
『…いや局長はもう少し気にしてほしいです』
女の子にパンツ剥き出しで渡すって…恥じらいとかはないんだろうか。
「ところで、その後の足の具合はどうだ?」
『あ、もう全然平気です!多少痛みはまだありますけど…何とか自分でも歩けるようにはなりましたから』
「そうか!それは良かった」
それからしばらく2人して縁側を眺めていると、ふと近藤さんが何かを思い出したように言った
「あ、そうそう。結衣ちゃんに良いモノがあるんだよ」
『良いモノ?』
言いながら近藤さんが先程まで手に持っていた紙袋から取り出したのは、とある甘味屋さんの高級餡蜜だった
『えっ!こ、これどうしたんですか!?』
「実はさっきパトロールの帰りに以前助けた婆さんからお礼にと頂いたんだ。…結衣ちゃん甘い物好きだったし、どうせなら一緒にどうかと思ってな!」
『ここの甘味屋いつも行列で滅多に買えないって評判なんですよ!…ほ、本当にいいんですか?』
「あぁ、毎日慣れない仕事で頑張ってるご褒美だと思ってくれ」
『あ、ありがとうございます!いただきます!!』
笑顔で頷く近藤さんに感激しながら目の前の餡蜜を1口食べた
『美味しい…!』
「そうか!良かった良かった!…」
あぁ…幸せ
やっぱり疲れた時には甘い物だなぁ。
「それにしても医者の話じゃ完治までに2ヶ月はかかると言われてたらしいが、たった数週間でここまで回復するとは正直思わなかったよ」
『あははは…私って意外と身体は丈夫なんですよね。それか骨の再生能力が人並み以上なのかも』
そう冗談を交えながら2口目の餡蜜を食べた
