第22章 立場が変わって初めてわかることもある【真選組女中編①】
い、
いやいやいや!駄目だネガティブに考えちゃ…こういう時こそ常にポジティブシンキングでいることが大切なんだから!
そう、私の今の仕事は真選組女中。
余計なことは考えず、今は目先の仕事に集中しよう。
縁側を少し歩いて土方さんの部屋の襖をノックする
『副長、御洗濯物の回収に参りました』
しばらくして襖が開かれると少し不機嫌そうな顔をした副長と目が合った
『あ!おはようございます』
「ん…あー……すまねェな」
『いえ!こちらこそ朝早くに起こしてしまって申し訳ありません』
「おー…」
目を擦りながらボーッと私を見つめる土方さん
『えっと…あの、洗濯物の回収に来たんですけど…』
「ん…ぁー…」
あれ、……寝惚けてる?
「ちょっと待ってろ…取ってくっから」
『あ、はい』
普段はこんなに早起きすることがないからか、副長のこんな気の抜けた顔初めて見た気がする
いつも私に「いつまで寝てんだ!」とか「寝惚けた顔してんじゃねェ」とか言ってたあの副長がっ…プッ可愛いっっ。
口元を手で隠しながらニヤついていると洗濯物片手に副長が戻って来た
「ほら、…これ」
『あ、ありがとうございます』
「…」
『…どうしました?』
私のことをじっと睨みつける副長に一瞬嫌な汗を掻く
も、もしかしてニヤついてたことがバレたとか!?
「おまえ…」
『え?』
副長は目を逸らすことなく、そのまま右手を私の頬に添える
え!!?
ちょ、は、え!?
『ふ、ふく…ちょ!』
突然のことに驚きが隠せない私はただ顔を真っ赤にすることしか出来なかった
『何して…ね、寝惚けないで下さいよッ!!』
慌てふためく私を無視して副長は更にもう片方の手も私の頬に添えてきた
「…」
『??』
未だかつて無いほど近い副長との距離に耐え切れなくなった私は副長の胸板を強く押しながら目をギュッと瞑った
すると次の瞬間、
『い…いだだだだッ!』
副長はそのまま私の両頬を強く引っ張った
『な、何するんですか!?』
「…ン」
『えっ…?』
「ま…」
『ま?』
「マヨリーン…」
は?
『だーれがマヨリーンだぁあああ!!!』
次の瞬間、寝惚けたままの副長にアッパーカットをお見舞し、急いでその場を後にした
別の意味で心臓に悪いんだよ副長は!!