第20章 甘い物の食べ過ぎには気をつけろ
『お、お、沖田隊長!?なななッど、どうしたんですか!?熱ですか、どこか身体の具合が悪いんで…』
「うるせェ、ちょっと黙ってろィ」
そう言って沖田隊長はさらに強く私を抱き締める
黙ってろって言われても…。
道行く人が私と沖田隊長を目を丸くして見つめる
ここ…公衆の面前なんですけどおおおお!?
『お…沖田隊長』
「・・・ーだ」
『え?』
突然耳元で何かを呟いた沖田隊長はそのまま抱き締める力を弱めそっと私から離れた
そして…
『いだッ!何するんですかっ』
そのままデコピンを食らい少し赤くなったおでこを擦りながら沖田隊長を睨む
「何が"護り通します"でィ。平隊士の分際で偉そうなこと言ってんじゃねーや」
『ぶ、分際ですと!?』
「オメーに護ってもらう程俺ァ落ちぶれちゃいねェぜ」
そう言って前を歩く沖田隊長の姿に自然と笑みがこぼれた
「何ニヤニヤしてんでィ、気持ち悪ぃ」
『いえ、今沖田隊長なら絶対そう言うだろうなって思ってたので…。沖田隊長のこと…少しはわかった気がして嬉しいんです』
「…」
『いだッ!』
突然沖田隊長に理不尽な足蹴りをされ、痛さのあまりその場に蹲った
「お前…ずりィ」
『…は?』
「普段んなこと言わねェくせに…よりによってんな格好の時に…」
そんな格好って…この着物のこと?
『…。』
沖田隊長は少し拗ねたように私を見つめる
『!!』
その瞬間、私の頭に何かが走った
も、もしかして沖田隊長…私の着物姿が可愛いって言いたいんじゃないだろうか!
確かに普段着物なんて着ないし、新鮮な感じで…私にしては可愛く着こなせてる方だと思うけど…
な、何か改まって言われるとちょっと照れるっていうかっ!
でも、普段私を女どころか人間扱いしていない沖田隊長がそう思うってことは…もしやこれでようやく豚扱いから解放される時が来たんじゃ…。