第20章 甘い物の食べ過ぎには気をつけろ
「あぁ、あれが沖田くんの見合い相手か…」
『え、銀さん何で知って…』
「昨日お妙んとこ来たゴリラが言ってたからよ」
近藤さん…何でも喋り過ぎだあの人は!
「にしても18で見合いたァ、マセてるねェ沖田くん」
『…感心してる場合じゃないよ銀さん』
「いや、誰も感心はしてねェよ」
『この縁談は元々幕府のお偉いさんが設けたようなものなんです!沖田隊長は真選組の為に仕方なくこれを受けざるを得なかったんですよ』
「へェ…」
銀さんは私の話を聞き、目線を再び沖田隊長に移した
「…仕方なくねェ」
『え?』
「幕府の命に逆らえないから受けたとすれば、さっさと済ませてとっととお開きにすればいい話だろ?」
『…』
「あの様子じゃあ…随分と盛り上がってるみたいじゃねェか」
言いながら沖田隊長とお見合い相手の女の人を指差す銀さん
2人の会話は店の外にいる私達には一切聞こえないけれど、お互いに笑い合っていて良い雰囲気だということはわかる
確かに…幕府は見合いをしろとは命じたけど結婚しろとは言わなかった。
ただ何となく、見合いを受けたら結婚しなくてはいけないのではないかと私が勝手に思い込んでただけだ。
"別に見合いしたからって必ずしも結婚するとは限らねェよ"
沖田隊長はああ言ってた。
けど、じゃあどうして…早く断らないんだろう。
実際に会ってみて…心変わりしちゃったのかな。
急に胸のあたりがモヤモヤして、私は心臓が握り潰されたような感覚になった
「?どうした結衣」
『うん…何か急に気持ち悪くなっちゃって』
「だから言ったろ、パフェ食い過ぎるなよって」
『…う…ん』
銀さんに背中を擦られその場に俯いた
もし、このままあの2人が結婚するなんてことになったら…
私は心からあの2人を祝福する事が出来るだろうか。
考えるだけで苦しくなって気づけば私は無意識に心臓を押さえていた
そんな私を見つめ銀さんはそっと私の名前を呼んだ
「結衣、」
『え…?』
次の瞬間グイッと腕を引っ張られ銀さんによって抱き締められた