第20章 甘い物の食べ過ぎには気をつけろ
それからしばらくして店を出た私達は、少し日の傾いた道を並んで歩いた
『銀さん…今日はバイクじゃないし、わざわざ屯所まで送ってもらわなくても大丈夫だよ?』
「あぁ、気にすんな。パフェもたらふく食えたから、せめてもの礼。…それにお前、今日は刀も持ってねェんだろ?一応んなお前でも今はただの少し女子力の低い女子だ」
『女子力低いは言わないでよくない?』
けど…
"ただの女子"…か。
いつもは耳を塞ぎたくなるようなその言葉も、何だか今日は少し嬉しく思った
…たまにはこんな着物着て町を歩くのも…そう悪くないかもしれない。
『銀さん…』
「あ?」
『今日はどうもありがとう』
デートなんて言い方は少し照れ臭いけど、今日の銀さんはちょっとカッコよかった…かな。
『また行こうね、甘味屋さん』
そう言って笑うと銀さんはそのままゆっくりと私に近づき、そっと私の髪に触れる
「結衣……俺は…」
俯き私の手を握る銀さんを見つめると、彼の向こうに映った人物の姿に私は目を見開いた
『沖田…隊長?』
「うおおいッ!手に何か付いてんぞコノヤロー」
『え?あ、ありがとう…』
突然銀さんが私の手を振り払いパッと後ろを振り向く
「…え、沖田くんどこにいたって?」
『あ…さっきあそこのお店に入っていくのが見えて…』
そう言って沖田隊長が入っていたであろう店の窓からそっと中を覗いてみるとやはり見間違いではなかったようで、羽織袴姿の沖田隊長が何処ぞの女の人と向かい合わせで座っていた
そっか…お見合いの場所ってここだったんだ…。
そして彼と向かい合って座るあの人が…沖田隊長の見合い相手…。