第20章 甘い物の食べ過ぎには気をつけろ
突然目の前に現れた沖田隊長の様子に拍子抜けし、その場にガクッと肩を落とした
『沖田隊長…何かお元気そうで何よりです』
「?…まぁ適度に腹は空いてるけどねィ」
いや聞いてねェよ!というツッコミを心の中でしながら、ふと目線を沖田隊長の格好に向けた
『その服…』
「あぁ、近藤さんに着ろって言われた羽織袴でィ。動きにくいからあんま好きじゃねーんだけど」
そう言いながら欠伸をする彼を見つめる
『今日の見合い、副長に頼んでみましたが…やはり破棄には出来ませんでした』
「…まぁ俺が良いっつってるからな。もう覚悟決めるしかねェだろ」
俯く私の頭に手を乗せ沖田隊長は微笑む
「んな面してんじゃねーや、益々ブスになるぜィ?」
『沖田隊長…』
「そんなことより溜まった書類を今日中に片付けれるかどうかの方を心配しろィ」
沖田隊長の言葉にムッとして頬を膨らませる
『ほとんど隊長が溜めた書類じゃないですか!それに…どのみち今日中には無理ですよ』
「あ?何ででィ」
『何でって…今日は銀さ…』
「おーい、総悟ー!」
私が言いかけた時、向こうの部屋から近藤さんの呼ぶ声が聞こえてきた
「やべ、厠行くっつって出て来たのに。…ったくアホな雌豚に余計な時間取らされちまったぜィ」
『いや声かけて来たの隊長ですよね』
「じゃあな、書類やっとけよ」
言いながら離れて行く沖田隊長の腕を気づけば私は無意識に掴んでいた
「…!」
『あっ…』
どうしよう…引き止めたって意味無いのに。
「…別に見合いしたからって必ずしも結婚するとは限らねェよ」
『わかって…ます』
そうかもしれない…それでも
『私は…沖田隊長に結婚してほしくない…です』
自然と口から出た言葉は沖田隊長の顔も自身の顔も赤く染める
「…大石」
「結衣ちゃーん!」
沖田隊長の言葉を遮るように山崎さんが私の名前を呼びながらこちらに駆け寄ってきた
同時に私も掴んでいた沖田隊長の腕を離す
『山崎さんどうしたんですか?』
「うん、門の前に万事屋の旦那が来てたから」
そ、そうだ!もう銀さんとの約束の時間だッ!
『あ、あの…では失礼致します沖田隊長!』
沖田隊長に頭を下げ、私は急いでその場を後にした
「…」
「…あ、沖田隊長似合ってますね、それ」
「…死ね山崎」
「何で!?」