第20章 甘い物の食べ過ぎには気をつけろ
- そのお見合いっていつなんですか? -
- 今度の日曜でィ -
結局、あれから私は特に何かをするわけでもなくいつも通りの1週間を送った
沖田隊長は嫌そうにしてたけど相手が幕府関係者の娘では下手に動けない、と見合い破棄は半ば諦めている様子だった。
沖田隊長でそれじゃあ…私なんかの意見は到底聞き入れてはくれないだろうな…。
現に今も副長に掛け合ってみたはいいけど、なかなか容認してはくれない。
『お願いします副長!今日の見合い中止にして下さい!!』
「しつけェな、無理だって言ってんだろうが」
『何でですか!大体、他の隊士のみんなはもっと早くに知らされていたのにどうして私には教えてくれなかったんですか!?』
「…こうなると思ったから言わなかったんだよ」
『えっ?…』
土方さんの言葉に私は眉間に皺を寄せる
「結衣、直前まで黙ってたのは悪かった。…だが見合いを破棄することは出来ねェ。これは俺の判断だけじゃない、幕府の上の連中やお上も絡んでんだ」
『…。』
副長の言いたい事は何となくわかる。
幕府の命に私情を挟んではいけない…
私達は例え自身の何かを犠牲にしても常にこの国の為にあらねばならないのだから。
だけど…
『望まない結婚をして…沖田隊長が幸せになれるとは思えません』
土方さんは溜息をつくと静かに私を見下ろす
「それはお前が決めることじゃねェよ」
『…!』
「結衣、今のお前に出来ることはもう何もねェ。気持ちはわからんでもねェが…今回は引け」
『…。』
私は土方さんの言葉に何も返すことが出来なかった
副長室を出て、少し俯き気味に縁側を歩く
確かに…全部副長の言う通りだ。
それなのに、
"沖田隊長が幸せになれるとは思えません"
私は…一体何を思ってあんなことを言ったんだろう。
『…幕府の為…か。』
でも…本当は辛いんじゃないのかな。
好きでもない人との結婚なんて…本当は嫌なのに、
それでも真選組の為に自分の声を塞いで幕府の命を受け入れようとしている。
沖田隊長のことだ、顔には出さないけど今頃1人部屋で落ち込んでいるに違いない…。
「よォ雌ブタ、溜まった書類お前の机の上に置いといたから今日中にやっとけィ」
『…。』
…そうでもなかったんですけど!!