第13章 嫌な予感ほどよくあたる
嫌な予感というものはよく当たるわけで
「1番隊は裏から回れ!2番隊3番隊はその後に続けェエエ!!」
あの後平河隊長が戻らないまま、早朝廃墟と化したビルで大規模な爆発が起った
「結衣!何ボサッとしてやがる、原田たちと合流しろ」
土方さんの指示で大混乱する現場から少し距離を置く為、高台に登るとそこから見えた光景に私は目を見開いた
平河隊長…!
煙で微かにしか見えないが、ビルの中にいるのは間違いなく彼だ
だが周りには複数の人間が彼を取り囲んでいた
まずい!!
私はすぐ様高台から飛び降り、まだ爆発が幾度か起こるビルの中へ向かって走った
「結衣!待て、まだ危険だ!!」
お願い…
お願いだからッ…
- お前を1番の隊士にしてやる -
- 星の砂に誓って約束だ -
間に合ってッ!!
『平河隊長おおおお!!』
あともう少しというところで
ザシュッ
鈍い音を立てて私の目の前の彼は倒れた
同時に爆発が起こり辺りは先が見えない程に火の海となった
『平河隊長!!』
彼のそばに駆け寄ると彼を斬ったであろう人物が私を見下ろしていた
煙のせいで顔ははっきりとは見えないが恐らく攘夷浪士だとわかった
「うっ…く」
『平河隊長!』
「結衣…ごめん…な」
『喋っちゃ駄目です!すぐに治療してもらえますから…もう少し頑張って下さい!』
「まだ…お前には教えたいことも…話したいこと…もいっぱいある…よ」
『私もです!私だってまだたくさん貴方に聞きたいことあるんですから…だからこんなとこで死なないで下さい!』
私は平河隊長の手をぎゅっと握り締めた
『まだ…手合わせだってしてもらってないです…それに1番の隊士にしてくれるって…約束したじゃないですか!』
「そう…だったな…。すまん…許してくれ」
平河隊長は私の首にかかった星の砂を手に取りそのまま私の頬を撫でた
「…どうやら俺は…少し欲張り過ぎたらしい」
『ッ?…』
「大事なものが多過ぎて…全て守り通す事が出来なかった」
そう言って平河隊長は静かに微笑んだ