第13章 嫌な予感ほどよくあたる
あれは2年前の桜舞う春の日のことだった
『平河隊長!今日も夜遅くまで見回りって本当ですか?』
「あぁ、一応俺も隊長だからな」
『もう…私と手合わせしてくれる約束は?』
「あははは、悪ィ悪ィ。今日はお前の上司の原田に稽古つけるよう頼んであるから」
『えー…原田隊長となんて私がハゲるかもしれないじゃないですか』
「殺すぞ大石!」
小さい声で言ったつもりががっつり原田隊長の耳に入っていたみたいで怒鳴られてしまった
「ごめんな、結衣。明日は非番だからちゃんと手合わせしてやるよ」
『えー…非番ならご飯食べに行きましょうよ』
「お前の優先順位は何だ。」
頭を小突かれ顔を真っ赤にする私の首に平河隊長は砂の入った小さな瓶をかけた
『?なんですか…これ』
「…お守りだよ」
『おまもり?』
「星の砂だ…綺麗だろ?」
首にかけられた瓶の中身をじっと見つめると、外からの光に反射し砂の1粒1粒がキラキラと輝いていた
『すごく綺麗…』
「…その砂は俺の故郷にある海の砂さ。その砂浜の上で誓いを立てた男女は永遠に結ばれる、とかその砂の上での約束は決して破れない、とか…昔からジンクスみたいに言われてたんだ」
『…どうしてこれを私に?』
平河隊長は私の顔を見つめ微笑んだ
「お前を絶対護ってくれるよ…」
『…平河…隊長は、護ってくれないんですか?』
「おう!もちろん護ってやるよ!」
そう言って私の頭を撫でる平河隊長をじっと見つめた
「約束だ、星の砂に誓ってな!」
『はい…約束です!』
私がそう言って小指を差し出すと彼も指を絡ませ笑った
『あと稽古とこの前の餡蜜代も返して下さいよ』
「えー餡蜜代は結衣の奢りだろ?」