第2章 昔話は簡潔に
「好きなもの頼んでいいぜィ」
『えっ…いいんですか!?』
結局あの後、強制的に外に連れ出された私だったけど途中沖田隊長がファミレスに行くと言い出したので二人して中に入った
「ここの店新しく出来たばっかなんでィ」
メニュー片手にそう言う沖田隊長をまじまじと見つめる
沖田隊長が私を連れてファミレスに…それも彼の奢りだなんて!
明日は雨でも降るんじゃないだろうか。
「ご注文をどうぞ」
店員さんの言葉に沖田隊長がメニューを指差し言った
「俺ァこのハンバーグで」
「かしこまりました」
店員さんは頬を赤くして隊長を見つめていた
ていうか…え?なにあの笑顔、私の時と全然違うんだけど!
「お前は何にするんでィ」
『えっ!あ、えーと…』
「…豚カツらしいでさァ」
「かしこまりましたー」
『何も言ってないんですけど!!』
「悪い悪い、豚骨ラーメンだったな」
『豚から離れてください!あ、私オムライスで…』
店員さんが去ったあと沖田隊長は携帯を取り出し誰かにメールを打っていた
『…本当に隊長が奢ってくださるんですか』
「最初からそう言ってんだろィ」
『あ、ありがとうございます…』
何だか今日は優しい。
いつもならコレやれだの、アレ買ってこいだのって言うのに。
ひょっとして、私が朝ご飯食べてないって言ったから?
そんな私に気を遣って彼が連れて来てくれたのだと思うと少し頬が緩んだ
『沖田隊長って素直じゃないですよね』
「あ?」
『だって私がお腹空いてるって言ったから連れて来てくれたんでしょ?』
「んなわけねーだろィ、ちょうど俺も小腹が空いてたから寄っただけでィ」
『ほら、素直じゃない!』
そう言って笑うと沖田隊長はパタンッと携帯を閉じた
あれ?…私なんかまずいこと言ったのかな。
「笑った」
『え?』
沖田隊長は頬杖をついて私を見つめた
「最近のお前の笑い方は気持ち悪ィっつーか」
『き、気持ち悪い!?』
「無理して笑ってるように見えらァ」
…!!
『そ、そんなことないですよ…』
「…ふーん」
『…』
そっか…彼が気にかけてたのはこっちだったんだ。
「まぁお前が考えてることなんて大体想像つくけどな…」
『…』
沖田隊長には隠しても意味ないんだろうな。
『沖田隊長…少し話を聞いてもらってもいいですか』