第11章 人の話は最後まで聞くべし【沖田視点】
「さすが真選組随一の剣の腕と言われるだけはありますね…この私について来られたのは貴方が初めてですよ」
何だ…こいつの力…!
力なんて全く入れてねェようなのに、刃が軋んでやがる…
ちょっとでも意識を他へ逸らしたら…間違いなく殺られる…。
「私は負け戦などはする気はありませんよ…私が剣を抜くのは…」
次の瞬間、背後の男達が大石の腕を掴んだ
『ッ!』
「自分が勝つとわかっているからです」
「大石ッ!!」
大石に気を取られ背後から振りかざされた剣先に腕を掠めた
「目の前の敵に集中するのは結構ですが、今貴方の敵は私1人ではないことをお忘れなく」
「チッ…大石、刀を抜け!!」
『!ッ』
「何してやがんでィ!早く…抜け!!」
何度叫んでも大石は一向に剣を抜こうとしない
「彼女は刀を抜かないんじゃない…抜けないんですよ」
「!?」
「彼女に…私達を殺すことはできません」
バシッ
「うぐッ」
『沖田隊長ッ!!』
くそ…こんな奴らに殺られてたまるかってんだッ!
「…いくら貴方でもこの数には勝てませんよ」
斬られた箇所から血が次々と溢れ出す
…あの一瞬でここまで深く…。
「ッ…くそッ」
体からどんどん力が抜けていくのを感じる
…俺は約束したんだ。
「さぁ、私達とご同行願います。結衣様…」
- 沖田隊長…結衣を頼みます -
絶対に…こいつを護るって…
「行くな…大石ッ…」
約束…したんだ。
「大石…」
そのまま意識を失う俺の目に最後に映ったのは、涙を流し俺を見つめる大石の姿だった