第11章 人の話は最後まで聞くべし【沖田視点】
目を覚ますと見慣れた天井が視界いっぱいに広がった
「ここは…俺の部屋?」
「…目ェ覚めたか」
声のした方を向くと土方さんが襖にもたれるようにして立っていた
「土方さん…」
ゆっくりと上半身を起こすと傷口に痛みが走り肩を押さえる
そうだ…。この傷、確かあいつらに
「土方さんあいつ…大石は!」
「無事だ…」
「…そう、ですかィ」
安堵の溜息をつくと、土方さんは難しい顔をしてその場に腰を下ろした
「…結衣の親父が来てる」
「え…」
大石の親父ってまさか…
「アイツを連れ戻すために…?」
「それはまだわからねェ、だが今日お前達を襲った兵は結衣の親父が動かしていたものだ」
「…どういうことですかィ」
「…」
次に土方さんの口から出た言葉に俺は目を大きく見開いた
「何か言えねェ理由があったのかもしれねェが…俺はあいつ自身が決めたことなら…引き止めるつもりはねェよ」
「…」
黙り込む俺を見つめ土方さんはゆっくりと立ち上がった
「とりあえず今日は安静にしてろ…親父殿も今日は帰るそうだ」
土方さんの言葉に頷くと野郎は部屋を後にした
部屋に1人残された俺は先程の土方さんの言葉を思い出した
-アイツを連れ戻すために…?-
- それはまだわからねェ、だが今日お前達を襲った兵は結衣の親父が動かしていたものだ-
- …どういうことですかィ -
"結衣は…帰ると言ってる"
…何言ってんだアイツ…。
言ってたじゃねェか…お前
- 私を強くして下さい! -
- 俺はアイツ自身が決めたことなら…引き止めるつもりはねェよ-
なんでそんなあっさり受け止められんでィ。
仲間1人さえ護ることが出来ねェのか俺達は……情けねェ。
いや、
一番情ねェのは、あの時アイツを護ることが出来なかった
俺自身だ。