第11章 人の話は最後まで聞くべし【沖田視点】
食い意地張ってる的なこと言ったから怒ってんのか、大石はさっきから俺と目を合わせようとしない
こりゃ機嫌取らねーと…また煩いだろうなァ。
そんなことを考えていると、ふと今日の仕事のことを思い出した
確か今日は午前午後と見回りか…。
確かこいつは今日…オフ…。
「なァ、」
『何ですか?』
「お前今日オフなんだってな…」
『ええ…まぁ。』
不思議そうに俺を見つめる大石
よし…仕方ねェ今日は俺が…
『い、言っときますけど私は今日はオフなんですからね!絶対隊長のパシリなんて嫌ですから、あと仕事も手伝いませんから!!』
…は?
意味のわからない勘違いをする目の前の女に呆れて溜息をついた
「そうじゃなくてオフなんだったら、この俺が今日特別に餡蜜でも奢ってやるって言おうとしたんでィ」
『えっ…』
「昨日巡回中に美味そうな甘味屋見つけやしてね、お前甘いモン好きだから今度休みの日にでも連れてってやろうと思ったんでィ」
『どこかで頭でも打ちました?』
「ぶっ殺されてェのかィ?」
『すみませんッ!嘘です嘘!!』
…クソ…可愛くねェ。
『あれ、でも沖田隊長今日は仕事が…』
大石が言いかけた瞬間、俺は神山を呼び頼み事(脅し)をすると神山は快く引き受けてくれた
「んじゃ、1時に屯所の前な。勿論隊服じゃなくて私服で来いよ」
言いながら食堂を出ようとすると大石が言った
『え…ほ、本当に行くんですか?』
「はぁ…嘘なんかつくかよ、面倒くせェ」
そう言って大石を睨むと何故か彼女は驚いた顔で俺を見つめていた
食堂を出た俺は自室に戻り、まだ敷っぱなしだった布団の上に仰向けに寝転んだ
…もっと素直に言えれば楽なんだけどねィ…。
好きだと気づくまでに時間はかからなかったのに
その先が…もどかしい。