第10章 壊れた壊した壊された ー神崎颯馬ー
「あんず殿はやはり姫役か!!ならば我は王子役に立候補したいっ!!」
「じゃあ俺は魔女に命令されて姫の心臓を取りに行こうとして結局姫を逃がす……何だったかな、名前…。とりあえず、ソイツをやるぜ。出番少ないだろうしな。」
「amazing!!ならば右手の人は魔女役をお願いいたしますっ!!」
「断るっ!!というかなぜ、俺達が出ることになっているんだ!!」
「あんず殿の一大事である!!協力してくだされ!蓮見殿!!我、良い子になるであるっ!!」
と、いった感じ。姉ちゃんはキョトンとして目をパチクリさせていた。
トコトコ歩いて神崎サンの服の袖をクイクイと引っ張ってぺこりと頭下げた。やはり、神崎サンは意味が分からないようなので補足する。
「おはようってさ。」
「おお!おはようである、あんず殿!!」
挨拶してくれたのが嬉しかったのか神崎サンは姉ちゃんを抱き上げてクルクルと回った。
あぁ、姉ちゃん困ってんな。
「はよっす、副会長」
「ん、あぁ。あんずの弟か。おはよう。全く、神崎の奴には困ったものだ…。日々樹、劇は出てやるが魔女以外の役をよこせ。」
「んー、では子人になりますかねぇ。いえ、鏡の声をやってもらいましょう!それならば、問題はないのでは?」
「あぁ、それならばやってやろう。」
紅月全員の役が決まったところで、稽古開始!とはならず、他の役に日々樹サンはウンウンうなっていた。
「ならば魔女は私がやりましょうか…子人は……そうですね、先生の手伝いで遅刻してくる北斗くん、友也くんを抜いてもあと五人………」
日々樹サンは俺を見て、ポンと手をついた。
「では、あなたにお願いしましょうかね。」
「え、俺っすか。」
「お願いしますね」
確かに男子的には子人っぽい身長してるけど。姉ちゃんやマッシーよかデカいぞ。(マッシーとはギリギリ)
「じゃああと4人か。それとなく誘ってみるぜ。」
と、いうことで取りあえず今ここにいるメンバーで稽古が始まった。