第10章 壊れた壊した壊された ー神崎颯馬ー
「おぉ!!弟うっちゅーーっ!!」
「うっちゅっス、月永サン。」
「あはは!また一緒にいるのか!仲が良いのか!?あ、待って答えないで妄想するから!」
「仲良いっすよ」
「んぁぁぁーーーっ!!!答えるなよっ!妄想の邪魔すんなーっ!!」
ハイハイと姉ちゃんと手を引っ張って月永サンを回避する。今日は土曜日。授業ナシ。プロデュースナシ。ゲームイベントナシ。というわけで舞台の稽古をしに学校へ来たという訳なのだが。
「どこに行ったらいいのさ」
「こっち。ついてきて」
姉ちゃんは小動物的に小走りをする。俺の大股と良い勝負のスピードだった。
………しゃべるんかい。
とりあえず、つっこんどく。
たどりついたのは演劇部の部室前。姉ちゃんが珍しく率先して扉を開ける。
「あ、あんずさん!…と………あ、確か弟さんですよね!おはようございます!」
姉ちゃんはぺこりと頭を深々と下げる。挨拶をしてくれた奴は首を傾げた
「おはようってさ。」
「あ、はい」
まだ姉ちゃんの無口キャラに慣れていないようだった。
「てか、タメで良いぜ。俺、1年だし。」
「あぁ、そうか。俺、真白友也。よろしく。」
「ん。マッシーって呼ぶわ。」
自己紹介をしている間姉ちゃんはチラチラと部室の奥を見ていた。何か、と思うと。そこには日々樹サンと神崎サンと…あと、多分三年生の人が二人いた。
「あ、のね。颯馬くんの、ユニット。紅月。」
途切れ途切れに説明してくれる。マッシーは姉ちゃんが喋ってビックリしていた。
「ふーん、紅月…。神崎サンと三年生二人?」
コクりと頷く姉ちゃん。すると、マッシーが補足してくれる。
「背の高い方が鬼龍紅郎って人で、眼鏡をかけてる人は…」
「ん?もしかして副会長?」
「あ、そうそう。わかるのか?」
「俺、生徒会だし。」
挨拶しようか、と姉ちゃんを連れて歩く。近くまで来ると、何を話しているのかもろ聞こえになった。