第9章 うん、ごめん ー衣更真緒ー
私は早くKnightsの皆に伝えようと廊下を走っていた。すると、曲がり角で誰かとぶつかってしまった。
まぁ、転んだのは私だけであったが。
「おい!廊下を走るな………って、あんず…?」
衣更くんだった。最悪だ、最悪なタイミング。
「何急いでんのか知らねーけど…」
「あぁ、今それどころじゃないから…!」
「お、おい待てって!」
衣更くんの脇を走り抜けようとしたら衣更くんは私の手をがっしりと掴んできた。
「あ、あのさ…こないだのことなんだけど…」
「後で後で!凛月くんが大変なの!」
「っお前、凛月のこと知ってんのか!?家に行ってもいないし…心配してたんだ、やっぱりなんかあったんだな!?」
やばい、口が滑った。私は誤魔化そうと必死に平静を保った。
「う、うんまぁね…不眠症で、ここんとこ寝てるかな!?」
「…っあんず、俺も行く」
「えぇ!?」
「何か、ほっとけねぇんだよ!」
しかし連れて行くわけにはいかない。できるだけ秘密に、それが零さんとの約束だ。
「駄目!ダメダメ絶対ダメダメ!!」
「はぁ!?何でだよ!」
「駄目なものは駄目!」
「何だよ、やっぱりまだこないだのこと怒ってんのか!?謝るから、連れて行ってくれ!!」
「駄目って言ってるのっ!!」
私は衣更くんに思いっきり叫んだ。こんなに大きな声を出したのは初めてだ。ほら、衣更くんが驚いている。
私はそのすきに皆が待つ部屋へと走りだした。
「そんなの~、二日間なのね!なら良かったわ!私達、今夜も泊まりたいんだけど…」
「今日の夜、お仕事だよね!頑張ってね!」
「ありがとう、あんずちゃん。王様も司ちゃんも泉ちゃんももう行っちゃったから、私もそろそろ行くわ。良い子にしてるのよ、凛月ちゃん。
早く一緒にお仕事しましょう?」
すこし寂しげにそう言って私に凛月くんを預け、嵐は仕事へと出て行った。
この部屋、どうやら保険関連の物置だったみたいで、ベッドが取り残されたように一台だけあるのだ。
零さんが自分が眠るために…とかなんとか言っていた。
お風呂は皆が入れてくれていたみたいだし、私もシャワー浴びてきたし、あとは寝るのみ!!!