第9章 うん、ごめん ー衣更真緒ー
「あうー、あうー」
「ほ~らくまくん、ほしいならお兄ちゃんって言ってごらん?言うこと何でも聞きますって言ってごらん?」
「おにぃ、おにぃ」
「「やめてください!/やめなさい!」」
赤ちゃん用のビスケットをヒラヒラさせて凛月くんにとんでもないことを言う瀬名さんに司くんと嵐が突っ込んだ。
「もう、何してるのよ泉ちゃん!ほ~ら、美味しいわよ~」
「んくんく……♪」
ご機嫌にビスケットをしゃぶる凛月くん。
司くんがそれを見て和んでいる。
その時、私の携帯に電話がかかってきた。
器用な生き方って逃げ♪…
衣更くんのパートを録音してそれを受信音にしていた。私は喧嘩のことが思い出され、いつもは聞いてから出るのだが即効で出てやった
『もし、嬢ちゃんや』
「ififです!」
『……なるほど、ifでもしも、と言う意味があるからつなげてもしもしというわけじゃな。いや、そんなことよりも。
凛月がなぜ赤子になったかわかったぞい!今すぐにガーデンテラスに来ておくれ』
そう言われ、Knightsの皆に説明して私は急いでガーデンテラスに向かった。
「これじゃ!」
零さんはドン!とテーブルの上に瓶を置いた。中には……
「角砂糖…?」
「そうじゃ、よくよく裏面を見るのじゃ」
私は瓶をひっくり返した。中で角砂糖がカラカラいう。
「魔法の角砂糖50個入り
あなたを赤ん坊に戻してくれます。
一粒食べれば一日、千粒食べれば千日効果が続きます。
……何ですか、これ。」
「前に話した赤ん坊になってしまった友人に話を聞いたところ、赤ん坊になる前にこの角砂糖を使い紅茶を飲んだそうじゃ。
その時、七粒使ったと言っておったのう。かなりの甘党でな、彼は。
数えてみたところ、41個なんじゃよ。」
ふむ、七粒使ってあったのであれば50個入りの角砂糖は43個になる。それが2粒減ったから…
「凛月くんは、二日間だけ赤ん坊ってことですか?」
「そうなるのう。」
「よかった、短いんですね…」
私はホッと胸をなで下ろした。