第2章 夢の話し 遊木真
お皿運びから帰ってきたらいよいよパーティーが始まった。紅茶部が厳選した紅茶や豪華なスイーツと生徒で会場は溢れかえっていた。
朔間くんは厨房に行かなきゃいけなかったのでわかれた。
「好海~。遅かったじゃん。何してたの~?」
「あ、お兄ちゃん!お皿運んでたの!」
「一人で?」
「ううん………朔間くんと」
その名前を聞いてお兄ちゃんは全てを察したようだ。朔間くんのことをお兄ちゃんに話したことはないが私が朔間くんを苦手としていることは知っていた
「好海…大丈夫?泣きそうな顔してるけど…」
「ううんっ!平気!私は大丈夫!」
きっと…辛いのは朔間くんだよね…。私が中途半端なことをするから…
それに、真くんも辛いだろうし…
「本当に大丈夫なの~?まぁ何かあったら言ってよ。あ、そうだ。ゆうくんが探してたよ。」
「真くんが?どこどこ?」
「tricksterの奴らと一緒にいたけど…あ、ほらあそこのテーブル。行って来なよ。」
指さされたテーブルに急いで向かう。
「あ、好海!遅いぞ~!先に食べちゃってるよ!」
「ゴメーン!お皿運ぶのに時間かかちゃって…!」
「皿運びなら凛月も一緒だったろ~?そんなにたくさんあったのか?」
衣更くんの言葉で真くんの顔が曇った。衣更くんはしまった!と言わんばかりに口を手で抑えた。明星くんと氷鷹くんはキョトンとしている。
衣更くんは朔間くんと幼なじみなので私のことで何度か相談を受けていたらしい。しかしとんでもない禁句を言ってしまい青ざめていた。
「高そうなお皿ばっかりだったから、割れたら嫌だなーって思ってたら時間かかちゃって!」
「そ、そうなのかー…!やっぱ紅茶部ってリッチなんだな!北斗!」
「あ、あぁ…?」
いきなり話しをふられた氷鷹くんは曖昧な返事をした。衣更くんは誤魔化すように次々にスイーツを頬張った。
「ねぇねぇ!好海の分もとってあるからさ!ジャンジャン食べなよ!女の子は甘いものが好きなんでしょ?」
「う、うん!この日のためにダイエットしたから!」
「…?好海はそんなことする必要はないように思えるが…?」
ダイエットの日々が無駄になるのは嫌だったが私はスイーツを食べた。