第8章 両片想いが喧嘩した結末は ー朔間零ー
宗お兄ちゃんと影片くんから強制的に離されてマイクとギターを持った晃牙くんの隣を私は歩く。
「朝から何なの…?生徒会の人に怒られても知らないよ……?」
「ふん!デコすけのヤローに頼んであるから大丈夫なんだよっ!」
「真緒くぅぅぅん!君のこと忘れないからねぇぇっ!!」
胃薬の飲みすぎで入院しないように私は祈った。
たどり着いたのは、部室前。
晃牙くんがガチャリと扉を開けると中から勢いよくトマトジュースの缶(中身あり)が飛んできた。
「あたっ!!」
私のおでこにジャストミート。あぁ、倒れる。晃牙くんはマイクとギターを持って げっ という顔をしていた。
意識が………!遠のく…
私はパタリとこけるように倒れた。
「……しまった!おい、大丈夫か!?おい!」
中から慌てて出てきたのは朔間零。その後に少し息を乱れさせた乙狩アドニスが続く。
「ったく…何してんだテメー」
「こいつに当てるつもりは…」
「すまない、俺がよけずに受け止めれば良かった。」
朔間零は朝から不機嫌だった。まずおはようと言ってきたアドニスにつっかかり何の騒ぎかと駆けつけてきた晃牙にも当たり散らした
寝起きだからかと思ったがおそらく原因はあんずだと思った晃牙が校門前であんずを探していた、ということだ。
「………もう良い」
朔間零が踵を返して棺桶へと向かう。また眠るつもりなのだろうか。
「待て、朔間先輩。何も良くない。あんずはあんたのせいでこうなった。あんたが責任をとってあんずが目を覚ますまで側にいるべきだ。」
アドニスは二人の恋路など気にしちゃいない。心の底から本当にそう思っているだけだ。
アドニスおめー………二人っきりにさせるつもりか…!?
晃牙はアドニスの提案に 恐ろしい奴… と生唾を飲み込んだ。