第8章 両片想いが喧嘩した結末は ー朔間零ー
「じゅうおにーーぃぢゃーーーーーんっ!!!」
私は放課後になると手芸部の部室の扉をドンドコドンドコノック…というかもはや叩いていた。
「やめるのだよ…ドアが壊れる。僕に大工仕事はできないのでね。」
「うわぁぁーーっ!!宗お兄ちゃーーーーんっ!」
「やめろ!部室前で抱きつくな!中に入るのだよ!」
宗お兄ちゃんに中に入れられ、手芸部のイスに座らされても私は机の上でメソメソと泣き続けた。
私は泣きながら宗お兄ちゃんに事情を話した。
「お守りさん、…きかなかった…」
「………昔のものだからな。」
相変わらず泣き続ける私に宗お兄ちゃんがポンと頭の上に手を置いた。
「効果がきれただけだ。新しいのをやる。」
宗お兄ちゃんが手と一緒に頭の上に何かを置いていた。
「…新しい、お守りさん?」
「全く……まさかあのお守りさんをまだ持っているとは知らなかったよ。おまけにおまじないでもかけてやろうか。影片がよくやっている。」
「あははっ、何それ。」
まだ部活に来ていないようで影片くんはいない。影片くんの前で泣かなくて良かった。
「ありがとう宗お兄ちゃん。」
「ふん……というかその宗お兄ちゃんという呼び方は何とかならないかね。恥ずかしいのだが…」
「え、じゃあ宗ちゃん?」
「そのちゃんが恥ずかしいのだっ!!!」
宗お兄ちゃんが怒鳴ると同時に影片くんがやって来た。
「お師さーん!遅れてごめん………ってあんずちゃんやん!こんにちはーっ!」
「こんにちはっ!影片くん、今日も飴ちゃんちょうだい!!」
「ええよ~、何味が良い?イチゴか?メロンか?」
やはり手芸部はいこごがいい。
私は時間も忘れて話し合うのであった。