第8章 両片想いが喧嘩した結末は ー朔間零ー
「どうかしましたか?」
「いや…ちとうらやましくなっての。」
うらやましいというのは宗お兄ちゃんのことだろうか。あ、わかった。お兄ちゃんお兄ちゃんって宗お兄ちゃんを私が慕ってるの見て凛月くん思い出して悲しくなったんだ。
かといえどうしようもないのだが。
私は弟が姉ちゃん姉ちゃん言わなくなった今でも何とも思わないし。
「嬢ちゃん、ちと話があるのじゃが…」
「はい?」
ドンドンドンドン!!!
零さんの話を聞こうとしたら荒々しく軽音部の部室の扉が叩かれた。
「小娘!小娘はいるか!?」
「何じゃドンドンドンドンと…」
宗お兄ちゃんだっ!と私が声に出そうとしたら零さんが私の口をふさいできた。
「おい零!小娘はいるか?」
「おらぬぞ。どうしたのじゃ、そんなに慌てて…」
口をふさがれながらも叫んでいるのだが、くぐもったんー!んー!という声しか出ていなかった。
「いや……いないのなら良い。すまなかったね。」
と宗お兄ちゃんはあっさりと行ってしまった。
「ぷはっ!零さん何するんですか…!」
「すまぬの。吾輩けっこう、この時が続けば~とか思っておるのじゃよ。」
「むーーっ!!訳の分からない零さんは嫌いです!!」
私は冗談交じりにそう言った。
のだが……
零さんはそんな雰囲気ではなかった。
「………あ、あのー」
「…出て行け」
「いや、出て行けるものならもうとっくに出て行ってるんですけど」
そう言い終えると零さんは棺桶の中に静かに入っていった。
や、
やってしまったーーーーーーーっ!!!
嘘だよ嫌いなんて嘘だよねぇ大好きだよーーっ!!
と、言える強い女になりたい。
結局、晃牙くんが開けに来てくれるまで私は勝手に大神くんのギターをかき鳴らしていたのだが。
めちゃくちゃ怒られました。