第8章 両片想いが喧嘩した結末は ー朔間零ー
「何じゃ、騒がしいのぉ…おや嬢ちゃん……何の用かの?」
「あ、いやその用事すんだし出よっかなみたいな…た、たたてつき悪いんですかねこのドア。全然開かなくて、ていうか鍵かかってるっていうか中から開けたいけど開けられないって言うか」
「あぁ、そのドアは外から鍵を閉めると中からは開けられないんじゃ。しかし…誰が閉めたのかの…?」
「さ、さぁ!?そこら辺の野良犬かなほんっとやだ最悪あはは」
私はそんなことを言いながらドアの前にへたり込んだ。
さいっあくだ。この状況を喜ぶ少女漫画の主人公ではないのだ、私は
「うーむ……誰かを呼びたいところじゃが…携帯はここにないのでのう」
「私もないです教室です」
零さんは盛大に欠伸をした。まだ眠いのだろう。
「…窓から出られないかな」
「アドニスくんなら出来るじゃろうて。嬢ちゃんには無理…」
「ものは試しだそれーーっ!」
零さんが何か言っていた気がするけど何を聞かずに窓を開けて身を乗り出す。
「これ…!」
しかし零さんに阻止される。零さんは私の体が落ちないように後ろから腰に手を回して支えてくれている。
「危ないじゃろう?もうおやめ。」
「はーい…」
渋々身を乗り出すのをやめて窓から離れた。風が吹いてカーテンが揺れた。
私は無意識にポケットの中に手を入れて宗お兄ちゃんのお守りさんをギュッと握った。
小さい頃からの癖であったその無意識がいけなかったのかもしれない。
ポケットの中から手を出せばコロンとお守りさんが落ちた。
「おや…?可愛いのう。嬢ちゃんが作ったのかの?」
「いや、宗お兄ちゃんです。小さい頃私にくれたんです。」
零さんがお守りさんを拾ってしげしげと見つめる。
「………そうか」
零さんがソッとお守りさんを私に返してくれた。少し切なそうな顔をしていたので私は首を傾げた。