第8章 両片想いが喧嘩した結末は ー朔間零ー
私の大切なもの
皆が呼んでくれるあんずって名前
もちろん、家族
そして初恋の男の子がくれたお守り
「あぁ!?まだくっついてねぇのかよ!告白してくるって言ったよな!?なのに何で帰って来るんだよ!しかもこのパターン何回目だよっ!!」
「わーっ!声でかい声でかい!」
相談相手の大神くんとお昼休みに相談していたらなんか勇気でてきて零さんに告白しようとしたら棺桶を見た瞬間勇気がなくなって帰ってきた。というのが今である。
私は零さんが好きだ。
どこが、とかいつかとかではない。何だかあの包容力にホワホワ甘えているうちに好きになってしまった。
「どうしよう大神くん…!お守りさん、私を守って!」
「………俺、十中八九その『お守りさん』のせいだと思うけどな」
「えぇっ!?何で!?これはね、私の初恋の人が…」
「いやそこだ。告白しに行くのにそんなもん持ってたら初恋思い出してしょうがねぇだろ。」
「え、でもこれ…その子の手作りなんだよ。捨てられないんだよ。」
「…その話じゃ初恋の奴のことまだ好きみたいじゃねぇか」
「えぇ、でも私の初恋ね……幼稚園だよ?」
私がそう言うと大神くんは腐抜けた声を出した。
「ていうか私の初恋相手、いとこのお兄ちゃんだよ?」
「それを早く言えっ………ってお前のいとこって……」
「宗お兄ちゃんだよ」
そう、私のいとこはかの斎宮宗!!そりゃあんな人いたら恋するでしょ!
手芸得意だったからお守りさん作ってもらったんだ!
「……吸血鬼ヤロー複雑だなおい」
大神くんがボソッとつぶやく。
「…とりあえず、部室行くぞ」
「え」
「さっさとくっつけ…」
ダルそうに私の手を引く大神くん。待って心の準備が…!
「とか何とかしてる間についた…」
「何言ってんだテメー。ほらよ!」
大神くんは私を部室の中に放り込んでドアを閉める。そしてガチャリと鍵のかかる音が…
ガチャガチャドンドンドン ドンッ!
ドアノブをまわしてトコトン叩き最後は蹴ってやった。
んー、まさかというかもしかしなくても
閉じこめられた……!?