第7章 amazingがamazingでなくなったとき ー日々樹渉ー
「あのー、日々樹さん?」
帰ろうと思って日々樹さんの教室の前に来たら日々樹さんがスッと私に手を差し出したまま動かないのだ。
え、何!?何!?
あ、マネキンの真似?
「…………」
日々樹さんはソッと手をしまった。
「さようなら、あんずさん」
「……さようなら」
そのままドアの方まで一直線に……歩いていった。
え、一緒に帰るんじゃないの!?
「…あんずの嬢ちゃん」
「あんず」
行き場のない私に話しかけてくれたのはなずなさんと鬼龍さん。
「あ、あの、日々、樹さん、が、わ、私、お、置いてかれ、た…あの手はいったい、何だったの……」
「俺が思うに、渉ちんはあんずと手をつなぎたかったんじゃないかな~?」
「おう、俺にもそう見えた。」
「えっと、他にも色々不思議なことがあるんですけど……」
私が二人に弓弦くんと差し入れを作ろうとしたらダメって言われたことと、ケチャップの件について話した。
「…それは嬢ちゃんの手料理が食べたかっただけだな。あと独占欲だろ。自分の彼女が男と二人は嫌なんだろうな。俺も妹が男と二人でいると男殺したくなるぜ。」
「ケチャップはたんにあんずにふいてほしかったんじゃないのか?」
「え………全然気付かなかった」
私ががっくり肩を落とすと二人はポンと私の肩に手を置いた。
「まだ日々樹の野郎は帰ってないんじゃないのか?」
「走れば間に合うな~生徒会に見付かるらよ~」
私は二人の言っていることがわかった。
「分かりました!さようなら!」
日々樹さんのところに行こう
「しっかし、渉ちんも案外シャイなんだな~?」
「嬢ちゃんが鈍感だから、言わねぇと気付かねぇのによ。」
二人はまだ帰らない