第7章 amazingがamazingでなくなったとき ー日々樹渉ー
翌日のお昼休み。いつものことながら日々樹さんとお昼ご飯を食べていると日々樹さんがナポリタンのケチャップを口につけていた。
あらま珍しい
昨日の桃李くんを思い出した。
「日々樹さん、口にケチャップついてますよ」
「おや、どこですか?」
日々樹さんはティッシュを持っていないのだろうか。私がティッシュを差し出すと
「……………ありがとうございます」
と今一な反応。
「そういえば最近amazing!って言いませんね。友也くんの機嫌がいいのは喜ばしいことですが、元気がないんですか?取り柄は元気なのに…」
「聞き捨てならない言葉がチラホラ聞こえてきますが……まぁ最近、刺激がないのは確かですねぇ…もっと冒険したいのですが」
「いや冒険って…家から一歩も出てないじゃないですか。あれでしょ、途中であきてお姫様助けに行かないタイプの勇者だったんでしょ日々樹さん」
「何の話ですか、それは?」
「えぇーーーー!amazingって言ってよっ!薔薇を撒き散らしてよーーーっ!!!普通の日々樹さんなんていやぁぁぁぁぁぁぁーーーーーっ!!」
私がうわーっ!と机に突っ伏すと食堂の方々が何事かと騒ぎ出した。日々樹さんは あーぁ、泣かした のような視線を受けていた。
「日々樹さんが普通になっちゃったぁーっ!何でなのーーーっ!!?」
「……………わたる、おんなのこをなかしたらだめですよ?」
そんなところにやってきて日々樹さんの肩にポンと手を置くのは深海さん。
「泣かないでくださいあんずさん。泣く必要はありませんよ!声高らかにamazing!」
「あめーじんぐー……ぷか…ぷか♪」
二人が頑張って励ましていたが、あんずは無反応。それもそのはず。
「………うわぁ、ねてますね~。」
「本当にamazingな人ですね…」
穏やかに眠っていたもの