• テキストサイズ

短編集…あんさんぶるスターズ!【あんスタ】

第52章   


イルカの水槽を前に目を輝かせる斑さん。
そういえば、イルカの飼育員的なこともやってたかなあ高校の時。


「……あのイルカ、親子で」


大きなイルカと小さなイルカが寄り添い泳ぐのを見たとき、耳鳴りがした。

それはもはや痛みとなり、私は思考を手放した。なぜか目の前に見えている水槽が消え、とある映像が流れ出した。














『言いたいことがあります』


二人きりの懐かしい講堂。
肩で息をする斑さん、無表情に立ち尽くす私。


『__たいです』


ノイズがかかって聞こえない。


『さっきの__、__ても良いですか?』


斑さんは悲しそうな表情を浮かべた。

私の顔は分からない。


いったい、どんな顔をして………




何を言ったというのか










































「あんずさんッ!!!」


斑さんの怒声で我に帰る。

周りの人が一瞬こちらを見て、すぐ水槽に視線を戻した。


「何ですか…大きな声出して。」

「何でって………どんなに呼んでも返事をしてくれなかったからだなあ!」


珍しく怒っていた。


(さっきのはいったい………)


「…ッ…!?」


突然はっとした斑さんが弾かれたように服のポケットに手を入れ、ハンカチを私に差し出す。


「あんずさん……何で泣いてるんだ……?」


斑さんに言われてたから気づいた。

私は泣いていた。


涙が止まらなかった。

ただ、無性に悲しかった。


そんな私の横を、親子のイルカが泳いでいった。
/ 683ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp