第52章
目が覚めてパッと起き上がる。
ダブルベッドの右側で、三毛縞さんが口を半開きにして寝ていた。
世の中のファンが嘆きそうだ。
時間は午前3時
(………………………………今のは)
布団に染みができた。
なぜか私は泣いていた。
(夢………………………?)
あんなこと、高校の時にあったっけ?
私は講堂で何をしてたんだろう。
何だか目が覚めてしまった。
ベッドから立ち上がり、寝室からリビングへ降りた。
冷蔵庫を開け、お茶を出す。コップに注いで、それを持ってテーブルに座った。
小腹が空いたなあ、と思いながらお茶を飲む。
こんな時間に起きてしまったが、幸いなのは明日仕事がないことだ。
私は高校を卒業してからアイドルとは無縁の、普通に四年制大学に通った。毎日仕事場でパソコンに向かう……本当に、高校に入る前から夢だった仕事だった。
なのになぜ斑さんと結婚したのかというと、彼は幼なじみということもあり交友が長く続いたからだ。
ただそれだけだった。
お茶を飲み、しばらく考えてみた。
さっきの夢………あれはいったい何なのか。
どうも気になるのだ。
(……斑さんに聞いてみようか…)
明日の朝にでも聞くのが良いだろう。私は使ったコップを洗い、リビングを後にした。
寝室では斑さんが相変わらず口を半開きにしていた。
ので無理やり閉じた。
(………………寝よ)
また同じ夢を見るだろうか。
いざ寝ようとすると胸がざわつく。
(嫌だ………)
それはなぜかという問題の答えは案外はっきりとしていた
(もう…見たくない)
そんな気がしたからだ。