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短編集…あんさんぶるスターズ!【あんスタ】

第51章 忘れてしまえ 蓮巳敬人


タイツを却下されぶちギレ寸前まで来た。

が、夜を待ち会場に入ってすぐボスに感謝することとなる。



会場の若い女が全員短い丈のパーティードレスだったのだ。何なら、私が一番露出少ないくらいだ。

そこで私は思い出した。



[このパーティーの主催者たる大企業の息子が若く求婚迫る者後を発たず。]



と書いてあった。


皆その息子狙いなのだろう。参加者名簿を見るに、私達の依頼人のように夫婦で来ている者は希であり父と娘、兄と妹のように……明らかその家の女を大企業の息子に売りに来ている。

その証拠に、私を見る周囲の女の目が痛い。


依頼人側とは事前に打合せしてあるので直接話すことなどない。遠巻きに見ておけばいいし、何もなければ楽しんでこいとまで言われている。

さすがにエージェントの名札をつけて会場をウロウロすることなどできないので………先輩はボスの実家の親類、私はその秘書ということになっている。

ボスの実家は有名な財閥なのだ。


パーティーの内容は…まあ立食会兼親睦会である。内容見た瞬間、ああこれ先輩嫌いなタイプの奴だなと思った。現に、嫌そうな顔をしている。


「………度し難い。何が楽しいというのだ…。」


この人は机でパソコンをカタカタしているのが一番良いらしい。


「美味しいですよ、料理。」


ともかくそんな顔をされれば怪しまれる。私は取り敢えずそこらへんに並んだビュッフェ形式の料理を適当に盛り付け先輩に渡した。


「……………ふむ、ありがとう。」


美味しそうな料理を見たからか先輩の表情が柔らかくなった。

立食会なのは良いけど椅子も置いてほしかったな。立ちっぱなしなんて疲れるじゃないか。


いざというときに体力は取っておきたい。


パーティー用のサイフと携帯しか入らないような鞄に拳銃が一つだけズッシリと入っていた。先輩も画しているが、靴下とズボンの間に一つ仕込んでいる。


(………使わずに終わればいいんだけどねー。)


私は拭いきれない不安を必死に隠した。
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