第6章 怖すぎて 天祥院英智
「会長、熱でもあるんですか?」
「あーもー、ばかあんず…」
「ばかあんずっ!?ばかって言う方がばかなの!ばか凛月!!」
気がつけば生徒会長は去ってしまっていた。………マフィン盗られたっ……!!
「うーん…やっぱ分かんないなぁあの人。」
敬人さんはあんなこと言ってたけど、嫌われてる気がするんだよねぇ…。
その日はさっさと退散して弓道部の部室に向かう。
ぱっと見で目当ての人は見当たらない。やっぱり生徒会室か…
「失礼します…」
案の定、その人はそこにいた。
「敬人さん、私あの人が分かんないです…」
「またその話か…。あんず、貴様の気持ち次第だろう。嫌なら嫌と言えば良い。何時までも待たせるな。」
「でも話しかけにくいっていうか……正直怖いです」
「怖いって、あいつがか?」
「そりゃ幼なじみなら怖くないでしょうけど…何考えてんのか分かんないんです…」
「貴様は読心術が使えるのか?たいていの奴の考えてることなんてわからないだろう。」
「分かりませんよ、分かりませんけど…。あの人は特別っていうか……何でか分かんないけど怖いんです。高所恐怖症みたいな感じで理由はないっていうか……
むしろあの人が読心術使えるんじゃないかって思うんですよね。今この状況でさえ予知されてそうで怖い……。
私のこと知りすぎてて怖い…。」
と長々と話して気付いた。やべぇ私ナルシストみたいっ!!
「あ、あの今のは自意識過剰とかではなく、自然的にそうなったっていうかありのままっていうかそのっ……!!」
「………そこまで分かっていてなぜ気付かないんだ、お前は。それほど英智がお前を好きだということだ。知らないことなどないくらいにな。」
「嘘だぁ……!素人のなんちゃってプロデューサーの私のどこに惚れる!?あり得ないあり得ないからっ!!はっ!またナルシストみたいっ!違うんです敬人さんっ!
ほんっとにどうしたらいいの~っ!!」
「お、おい泣くな!」
感情が高ぶりすぎて涙が出てきた。副会長そっちのけでエグエグと泣いていたら生徒会室の扉が開いた。
え、このタイミングでっ!?