第6章 怖すぎて 天祥院英智
誰だろう、と見る前にグイッと腕を引かれた。そのまま庇うように扉を開けた人物……生徒会長は私の前に立った。
「おい…なぜ俺が泣かしたようになっている」
「今のはそう見えたけどな。」
肩をすくめた生徒会長は違うのかい?と首を傾げた。
「勘違いもいいところだ。俺に女を泣かせる趣味はない。全く、コイツのことになるとこうだ……。」
副会長はブツブツと呟いて生徒会長へお説教を開始した。
「ふふ、参っちゃうね。」
生徒会長はそう言っておどけた。
……あれ
何か、生徒会長が普通の人に見える。いやいや、普通の人なんだけど…。
生徒会長は精神年齢が高い感じがして近寄りがたかった。大人びていたんだ。それもものすごく。
年相応の高校生じゃなかったんだけど……。生徒会長もちゃんと18歳なんだなぁ(18歳か知らないけど)と素直に思った。
「生徒会長って何か格好いいですね」
「いきなり何だい?」
「おい、聞いているのか…?」
敬人さんは不機嫌そう…というか不機嫌だ。
私はニコッと笑った。
「内緒です。」
「……英智」
「…………参っちゃうね。」
真っ赤になった生徒会長を見たものは副会長のみ。