第49章 独占欲 斎宮宗
期待の目でみかくんが見つめてくる。アタシは手に汗握りながら宗の部屋の前に立っていた
紅郎と零もくっついてきた。宗の家族はアタシ達に一任してくれてるみたいで口さえ挟んでこない
それが一番正しい
宗と付き合っていく上でこういったことは全て…
無駄なお節介なのだから
「宗」
返事がない。
ノックしてみた。
返事はない。
ドアノブを回した。
開かない。
アタシはパーカーのポケットからヘアピンを出した。
それを見て零と紅郎がみかくんの目を手で隠した。
「え、ちょ、何なん?」
「企業秘密につきお見せできません」
「そういうことだ」
「大人しくしておれ。」
____ピッキング中____
(よし、開いた。)
これはもはや奇襲だ。宗に気づかれたら終わり。再び鍵を閉められ、部屋の前に本棚やら置かれちゃたまらない。
アタシは後ろに居た三人に目配せをした。みかくんは何が起こったのか分からないといった顔だが鍵が開いたことは察したらしい。
アタシは皆で入ろうと合図したが、みかくんが首を降って手をブンブン振り回す。
スマホを取りだし、メモ機能で文字を打ちアタシに差し出した。
『俺が入ると怒られてすぐ追い出されんねん!話なんか聞いてくれへんもん!!』
次に紅郎と零の顔を見ると二人も顔を振った。
となると…
アタシは全てを察して頷いた。あとは頼んだと言わんばかりに三人は宗の部屋から離れていく。
リビングにでも行ったのだろうか、家族との話し声が聞こえ始めた。
(……………宗)
アタシは最後に会った時のことを思い出した。
あのライブの後…心配になって会いに行ったのが最後だった。
『僕のことなんかそこらへんの奴らと同様、何とも思ってないのだろうッ!!!』
『違う、聞けって宗!アタシはただ心配なだけで……』
『喋るな汚らわしいッ!!!このチンピラ風情が!!!!』
自分でも愚かな理由だと思う。
宗が言っていたことは正しい。
アタシはチンピラだ、汚らわしい。
世間から見れば宗を言い分は最もだ。
でも
アタシは一度だって自分のことを汚らわしいなんて思ったことはなかったよ。
チンピラにはチンピラの生き方があるから。
宗は、わかってくれてると思ってたのにな___