第49章 独占欲 斎宮宗
紅郎と零は先に宗の家に着いていたらしい。………天祥院の奴、どうやら大分遠回りしていたらしいな。
家族はもちろん、居候のみかくんもたいそう宗のことを心配していて試しに紅郎と零が宗の部屋の前でアタシが来ることを喋ったらしい。
アタシに会うつもりはないということと帰れということを扉の向こうから言われたのだが、零が言ったらしい。
「今、天祥院くんのリムジンでドライブしとるからのう。もうじき来ると思うんじゃが、どうしても会わんのかえ?」
その言葉の後、一瞬にして宗は部屋から出てきて零に向かって罵倒暴言を思い付く限り浴びせた後家の外に飛び出していったらしい。
「んで、そこにちょうどリムジンが来たって訳だ。」
「アッハッハッハ!!!こりゃあ傑作!元気出せよ零!」
さっきとは打って変わってショボンとしてリビングのソファーに座る零の背中をバシバシ叩く。
宗の家族はアタシのことをよく知っているので、別に咎めることもなく『あぁ、今日も元気だなあ』と温かく見守っている。
「………我輩だって傷つくんじゃもん……」
流石に可哀想になったので叩くのはやめた。
「あ、あの~。」
遠巻きにアタシ達を見ていたみかくんがオズオズと話にはいってくる。
そういえば、この子とは初対面に等しいな。アタシが一方的に知ってるだけだし。
そりゃあ大柄な茶髪パーマ野郎が来たらビビるわ。
「え、えぇっと…あんたが杏里さん?やんな…。」
「合ってるよ。」
「お師さん、あんたの話題なったとたん三日ぶりに部屋から出たんよ。せやから……その、部屋から出てくるよう………いや、出てこんくてもええからせめておまんま食べるように説得してもろてもええかな…?」
アタシはおまんまと言われて吹き出しそうになったが紅郎にほぼビンタの勢いで口元を手で覆われ事なきを得た。
でも痛いので軽く頭を殴っといた。