第49章 独占欲 斎宮宗
とりあえず紅郎に事情を説明した。紅郎にも説明してもらうと、何と同じ夢ノ咲の生徒……で、少年達はrabbitsというユニットなのだという。
「夢ノ咲ねえ……。てことはアイドルかい君達。」
「そーなんだぜー!!」
「す、すみませんさっきは……てっきり男の人だと……。」
満くんと友也くんは(名前は一応教えてもらった)それぞれの反応で私に言葉をかけてくる。
うん、めっちゃ良い子。
「ってにーちゃん!電車が…!」
いつまでも眺めていたかったが創くんが切羽詰まった声を出した。
「あ!本当だ…!俺らこれから仕事なんだ!じゃあな紅郎ちん、高村さんもありがとうございました!!」
なずなくんはもはや天使としか言いようがない笑顔を残して三人と駅の中へ走って消えていった。
「……なずなくんは本当に、紅郎とタメなわけ?」
「んだよ、文句あっか。」
アタシはジイッと紅郎を見つめた。
うん、ないな。
こいつを天使というやつは出てこい。三秒でのばしてやる。
「んで?紅郎がアタシをわざわざ駅前に呼び出したってことは何かあるんだよね?」
「いや……厳密に言うと俺じゃなくて………」
「我輩じゃよ。」
後ろからヒョイとキャップを取られた。
……こいつら人のギャップ取らねえと話できないわけ?
髪の毛は下ろしたまま放置していたから別に被害はないが……。
「うむ、やはり帽子はいいのう。今日は日差しが強すぎる。」
「日傘はどうしたよ、零?」
目の前に立つ同級生にはもう腹も立たない。
零には怒ったところで無駄だからだ。
「実は、寝ぼけてたらしくてのう…忘れた。これ、借りてていいかえ?」
「はいはいドーゾ。ったく、とりあえず移動しね?
このメンバー目立ちすぎるしさ。」
背の高い……一癖も二癖もある男女が駅前で三人……。目立たないわけがない。
ギャラリーが遠巻きに数人いるくらいだ。
アタシはため息をついた。
零、無計画すぎだろ。