第49章 独占欲 斎宮宗
「やあ、大事なかったかい。」
全員アタシより背が低いんじゃないだろうか。
なので声をかけると驚かれた。いや、これでも気にしてるんだ。女子なのに声が低いとか、背が高いとか。
おかげで男装が様になる。
「あ、さっきの…」
そのうち、水色の髪の子が真っ先に反応した。………ちょっと待てアタシより声高くないか?
「えーっと………そんなビビんないで良いよ。君達、怪我とかしてないか?」
「だ、大丈夫れすッ!!!」
一番小さい子がそう言った。しっかし、変なかみ方するなこの子は。
「ゴメンね」
「え?」
……申し訳ないが、そこらへんに五人はいそうな普通の顔立ちの子が声をあげた。それをまずいと思ったのか咄嗟に口を塞いだ。
「いやぁ、さっきのウチの連中でさ。」
「へーー!?兄ちゃん、ヤンキーのボスなの!?」
「こら満ちんッ!!!!」
はっきりそう言われ面食らった。が、更に面食らったのは一番小さい子の発言だ。
え、満ちん?何めっちゃ可愛い負けたわ今日から女子やめるわ。
しかも最初の子兄ちゃん言ったよ。兄ちゃんて。
「いや……ボスじゃねーけど…………まあ、いいや。」
ただなつかれただけとも言いにくかった。
「偉そうに言える立場じゃないけど、いくら近道だからといえあそこは二度と通るなよ。今度は助けてやらねえからな。」
軽く注意していると、後ろから小突かれた。
何だと振り返ると同時に、かぶっていたキャップをとられた。
あーあ、キャップに入れ込むの苦労したのに。
明るめの茶髪、少しカールのかかり腰まで伸びた髪が重力に従いサラサラと落ちた。
「お前、変な格好すんなよ。誰だかわからなかっただろうが。」
「相変わらず保護者気取りか、紅郎?」
とりあえずキャップは取り返した。
今度は少年達に振り返ると彼らはポカンとしていた。
「うお、rabbitsじゃねえか!お前ら高村と何してんだ?」
「………は?ラビッツ?ニンジン?」
「ニンジンはキャロットだ。ラビッツは兎だろうが。お前本当に大学生か?」
「………………専門は古典文学だっつの」
少し馬鹿がバレてしまった。が、それよりもアタシにはこの状況が問題に思えた。