第49章 独占欲 斎宮宗
「へー、君たち何してんの?」
チャラチャラした男どもが小さな少年達を囲んでいた。
「こんなとこに来るなんて命知らずだねー。」
ああうざいうざい。
何でこんなやつらがはびこるんだか。群れをなしてでしか一人でトイレも行けないくせに。
ということでムカついたアタシは少年達を囲む男のうち一人の後頭部に回し蹴りを入れた。
たまらず男は倒れこむ。
「いってッ!!何すんだ!!!」
この時のアタシを女と見るやつなんていないだろう。髪は全てキャップに入れ、白のズボンに黒のだぼっとしたパーカー。見た目は男子と変わらない。
「ボサッとすんな」
まだカタカタと震える少年達に言葉を投げる。
「アッチの路地に行きな。走り抜けるんだよ、誰に何言われても構うな。」
「…ッはい!ほら皆、行くりょッ!!!」
一番小さい子の声で全員が走った。
アタシは目の前で血の気を引かせていく男どもを睨んだ。
「そうつっかかんじゃないよ…何回も教えたろうが。」
「で、でも姉さん……!」
「でももへちまもあるかい。反省して夕日にでも向かって走ってろ。」
はいっ!と威勢よく返事をして男どもは走っていく。ちなみに今は正午なのだが、彼らはどの夕日に向かって走るつもりなんだろう??
「………馬鹿にジョークは通じないか。」
アタシはそう呟き、先程の少年達の後を追った。
少年達が走り抜けた路地を抜ければやかましい駅前につく。そんなに焦ってどこに行くのか、サラリーマンがアタシに肩をぶつけて謝りもしなかった。
先程の場所はこことは真逆だ。俗に言うチンピラどもが群れているような、あの場所とは。
たまに駅への近道だからとあそこを通る愚かな一般人がいるので、見かねてチンピラを撃退していたらいつの間にか姉さんと呼ばれ変になつかれた。
あそこを取り仕切っている奴がいたのだが、もうソイツはこの世界には顔を出さなくなった。
とはいえアタシがわざわざ駅前に来ているのは、ソイツに会うためなのだが。
アタシはキョロキョロしてソイツより先に少年達を探した。
小さいけれど、あんなに……愛らしいと言うか、そういう子達は騒がしい駅前でも一際目立っていた。