第48章 おめでとうという大義名分のもと謝罪します 漣ジュン
私はスマホを握りしめた。
「衣更くん」
「何だ?」
「今日、誕生日だって自分でアピールしてくる奴どう思う?」
「……今のお前に言いたくないけどうざいな。」
「ですよね~!!!」
trickstarのレッスンが終わり、一緒に帰ろうかとなっていたときに聞いてみたが案の定。
「ジュンくんおめでとうって言ってくれないのかなー言ってくれたら嬉しいなー!!!」
「少なくとも俺は言うよ。おめでとう。」
「ありがとうー……。」
ニヘッと府抜けた笑いで返した。しかし上手く笑えない。ジュンくんにおめでとうって言ってほしい。
その一言があればそれでいい。
けれど、
(………難しいよね)
そもそも、向こうはアイドルのトップを突っ走っているんだもん。忙しいよね。祝ってくれなくて当然。
とは思わないからね。
祝ってくれなかったら怒ってやる。怒って怒って激おこボンバー!!だからね!!
「だから私におめでとうって言って~ー!!!」
と叫ぶ。
見かねた衣更くんが何でも買ってやる、と言ってくれた。
下駄箱で下靴に履き替え、外に出る。
「………ッ!!!」
「のわっ!!」
「ゼェ、ハァ、ゼェ、ハァ、ハァ、ゲッホゲホゲホ、ハァ、ハァ……」
汗だくのジュン………と、Edenの他三人がいた。
「おいおい、なんだこのご都合展開……!!」
「はあ、説明、ぜぇしましょう!!ジュンを、ハアハ ア、大阪から東京に、ゲッホ、連れてくるために、ゼェゼェ、巴財閥の、ハァハァハァ、ヘリで飛んで来ました!!着地したところから全速力で二キロ走って参りました無事についたので敬礼ー!!!ハアハア、ノンブレスきっつ……ハアハア、ゼェ」
「わかったはら息落ち着かせてから喋れ!?あと説明ありがとう!!」
衣更くんが茨の背中をさする。
思いっきりむせてるけど!?二キロ全力疾走ってよく生きてたね!?