第47章 何事にも屈しないけれど時には泣いてしまいそうになる 衣更真緒
「………何言ってるの…」
「わからないんでしょ?もう良いよ。」
私は素っ気なく言い放った。
わからないなら良い。わかってくれなくても良い。
「私は君が怖い。」
私は残酷だ。衣更の言う通り、残酷だ。優しい幼なじみを突き放したのだから。
朔間はすっかり放心していた。
それを見て確信する。
私は忘れていた。忘れていたんだ。
私を思ってくれる幼なじみのことを。
褒めてくれると思った。一人で頑張れば、きっと。でも違った。私は彼らに頼ることをしなかった。いつでも頼って、と優しく手を差しのべてくれているのに。
「………だからお願い朔間」
君達から離れられなくなる前に。
私を一人にしてほしい。
「……ムリ」
我を取り戻したように、サッと彼は動いた。
「一人にできないよ。」
「…朔間」
「だって俺はあんずを………ッ」
彼はそこで目をそらした。苦しそうに唇を噛み締める。
「まーくんだって………
あんずのことが……」
「………朔間」
「そんな悲しいこと言わないで、俺達はあんずのことを迷惑だなんて思ってない。だって俺達ずっと一緒にいるじゃん…!
あんずこそ分かってないよッ!!!一緒にいたって心は遠い、それは俺も兄者もきっとそう!それで当たり前なんだよ……!!
それで良いんだよ…」
彼の声はだんだん小さくなっていった。私はどうしていいのかわからなくなった。
「………りっちゃん、まーくんのとこ行こ」
「………」
「助けてもらお、もう私わかんないよ。」
りっちゃんは首を振った。
「まーくんの所に行かないで」
「…………」
私にすがるりっちゃんは、泣いているようだった。
残酷
その言葉の意味を理解した。
私だけだった、三人でいたいと望んでいたのは。
衣更も朔間も、もっと違う話をしていたのだ。
「私」
私は朔間の体を押し退けた。
「やっぱり男の子は怖い」