第47章 何事にも屈しないけれど時には泣いてしまいそうになる 衣更真緒
「ちょっと!!」
棚から落ち……なかった、副会長の背中に神がかりなバランスを保っている本やファイルを拾っていると…朔間が荒々しくドアを開けて入ってきた。
その後ろに瀬名さんと月永さんが続く。
まさか、と二人に目で訴えるとそのまさからしく月永さんは満面の笑み、瀬名さんは大きなため息をついた。
「な、何々?何なの?」
「…………ッ…ふざけるな……!!!!」
朔間は姫宮くんの声も聞こえていないようで、たくさんの人間がいる部屋の中で私一人に語りかけていた。………というか怒鳴るに近いけど。
knightsの三人はこれからリハーサルと聞いた。なのでユニット衣装だった。
それが朔間をより偉大に見せていた。
怒りに震える朔間を見て、彼を止めようとしてくれていたらしく一緒に来ていた瀬名さんと月永さんは諦め、副会長達を連れて外に出ていってしまった。
「王さまとあんずがコソコソしてることは兄者から聞いてたよ…。俺達二人以外に仲良くできる人がいるって分かって安心した……だけど!!!」
正直、朔間がこんなに怒っているところは初めて見た。
「何で一人で無茶するの………!?頑張るって何!?どうして俺とまーくんに言ってくれないの、言ってくれたら協力した、一緒に改善点見つけた…………ッ!!!」
「……朔間…」
「俺達も一緒だって言うの………」
あんずを傷つけた、アイツと一緒だって言うの
朔間の怒声がゾクッと私に恐怖を蘇らせた。
思い出したくもないあの日を、私に蘇らせた。
「………朔間…ううん、りっちゃん。」
それでも震えてでも無様でも。
私には言わなきゃいけないことがある。大切な大切な幼なじみに。
「…ありがとう」
するの、朔間は怒りで歪んだ顔をキョトンとした顔にした。
「どうしてかな。ずっと……一緒にいるのにね。…………遠いね。」
私はフフ、と笑った。朔間は更にキョトンとした。
「側にいたのに…………私のこと、分かってくれないんだね。ずっと、一緒なのに………私はりっちゃんの気持ちが分からないんだね。
ねえ、どうしてかな」
_____どうしてずっと一緒にいられないんだろう
どうして大人になるんだろう
ずっとこのままが良い
三人でいられたらいいのに
何でずっと側にいられないのかな