第47章 何事にも屈しないけれど時には泣いてしまいそうになる 衣更真緒
「朔間お願い出てきてぇぇぇッ!!!」
「ほーれ嬢ちゃんや~」
「いやあああぁぁぁぁぁ!!!!」
朔間に相談したくて、久々に家に遊びに来たらこれだ。零さんがいると朔間…りっちゃんは引きこもって出てこない。そして私の男子接触恐怖症を面白がって零さんが茶化してくる。
いつものパターンだ。
「ちょ、きょ、きょきょ今日はいないんじゃ、な、なかったんですかッ!?!?」
「嬢ちゃんが来ると聞いて飛んできたのじゃよ!」
「誰ですかこの人にそれ言ったの!?だああああ来るな来るなこの変態吸血鬼ッ!!!!!」
「変態は余計じゃ。」
朔間家のリビングをグルグルグルグル。今はこの家に私と吸血鬼兄弟しかいないから、止める人もいない。
「零さんいい加減わかって!私、本ッ当に怖いんだってば!!」
「分かっとるよ」
「分かってな「怖がっているだけではいかんぞ」………え?」
零さんは不適にニヤリと笑った。
「頑張るのだろう?」
「…………………何で、…」
「立ち聞きしてしまっての。忘れ物を取りに帰った時にな。」
「………………」
私は何も言えなくなった。
「…零さん」
「何じゃ?」
「そこ、………どいてくれませんか」
私の目の前に立っているだけなのに、まるで山みたいな威圧感があった。
懐かしい
嫌な
中学1年の時の感覚
「…………クッ…」
突如、零さんが吹き出した。
「ク、ククク……ハッハッハッハッ!」
何でだ!?と途方にくれる私を横目に、零さんは私ではない誰かに聞こえるようにわざとらしく大きな声を出した。
「そんなに睨まなくとも、何もせんよ。本当に優しい子じゃのう。」
「………………」
ガチャ、とリビングのドアを開けて入ってきたのは
「りっちゃん!」
「…………」
ムスッとした顔の幼なじみだった。