第47章 何事にも屈しないけれど時には泣いてしまいそうになる 衣更真緒
「あ、に、じゃ…」
「りちゅー!!出てきてくれたのかお兄ちゃんは嬉しいぞい!!」
「りちゅくんヘルプミー!!!」
「二人とも金輪際その呼び方はやめて。」
あ、これマジなやつだ。と私達は察した。
朔間から不穏なオーラが解き放たれているのがわかったからだ。
(ど、どうしたらいいんじゃ嬢ちゃんや)
(知りませんよお兄ちゃんでしょう?)
(我輩凛月に嫌われるくらいならニンニクチップの海に沈んだ方がましじゃ…)
(オーケー、コンビニで爆買いしてきます)
(頼んだぞい)
(頼まれた!)
「ねえ、何コソコソ話してるの?」
((バレてた………!))
「土葬か火葬かって?安心しなよ、日本には火葬しかないから」
((お葬式の算段たてられてた___!!!))
「葬式饅頭じゃなくてニンニクチップで良いよね?染めてあげるよ紅に。」
((血で染められるううううッ!!!))
と、一通り茶番を繰り広げたあとで私はりっちゃんの部屋に連行された。
零さんはニンニクチップ、ニンニクチップとリビングの片隅で震えながら膝を抱えている。
「あのね、あんまり家に来ないでよ。……兄者もいるんだし。」
「あ、あはは………」
「で、どういうこと?」
「ニンニクチッ「それはもういいから」」
怒ってらっしゃるぅぅぅ血で紅にそめられるううううう
「頑張るって何?」
被害妄想を繰り広げる脳内を、その一言が正気に戻した。
どこから聞いていたかは知らないが、一番知られたくないことを聞かれた。
「…………まさか、隠し事なんてしないよね?」
「……………………」
「何で兄者からもっと逃げないの。」
「……………………」
そこで朔間は頭をがしがしとかいた。何も反応がない私を見て無駄だと思ったらしい。
「それで?何のよう?」
彼はそう言って何事もなかったかのように優しい微笑みを浮かべていた。