第47章 何事にも屈しないけれど時には泣いてしまいそうになる 衣更真緒
と言われてもすぐに怖くなくなるわけじゃない!!
怖い、怖い怖い
「あんず、怯えてたって駄目だ!!克服するんだろ!!」
「王さま、さっきから無理矢理すぎ!!ああもう俺見てらんない!!」
瀬名さんはパッと手をはなした。しかし月永さんは私の手を握ったままだ。
(………ッそうだ、……怖がってちゃダメだ……!!)
ゾッとした悪寒が全身が襲うなか何とか自我を取り戻す。
(…でも…無理……ッ)
結局、私はバッと月永さんの手を振りほどいた。
それでもまだ怖い。月永さんの体温が手に残っていた。
私はへなへなと床にへたりこんだ。
「セナ、リッツ呼んできて!」
「自分でここまでやっといて俺に呼んでこいって言うの!?」
「………あ、あの……」
もはや立てなくて、震えすぎて声も弱々しい。それでも二人はわざわざしゃがんで、視線を合わせて聞いてくれた。
「朔間…………あと、衣更…あ、あの二人……には、言わな……いでおいて、くれませんか………?」
「「はぁ!?!?」」
二人はとんでもない、と声を合わせてそう叫んだ。
「リッツがいるから大丈夫だと思ってたのに!?これ俺が完璧に悪い人!?あ、待って答えないで妄想するからッ!!!!」
「王さま現実戻ってきて!?ていうか何考えてんのぉ!?そんなに震えて……ッ!あんたをフォローできんのあの二人だけでしょ!?」
二人とも全力で私の心配をしてくれている。わかっている。でも………
だからこそ、私は。
「……私は…あの二人と永遠に、……一緒にいるわけじゃない…い、いつも迷……惑かけて、ばかり……申し訳なくて………」
途切れ途切れでチグハグで。全然文章になっていなかった。
ああ、私何言ってるんだろう?
自分でもよくわからない。それなのに口がペラペラ話し出して止まらない。
「あの二人でさえ二年、かかっ……、た。…大…丈夫になるま……で、二年…簡単な、こと………じゃな、いって…わかって…、るけどッ、あ…あの二人に、頼らな…、で私一人で……克服した、い……」
少ししか話していないのに息が切れる。ゼェ、ゼェと大きな呼吸が肩を揺らしていた。