第47章 何事にも屈しないけれど時には泣いてしまいそうになる 衣更真緒
何とかしないと。でも思うだけでは駄目だ。実行しないといけない。
………でもどうしたら。
衣更と朔間は大丈夫なのに………
午前中はひたすらそれを考えて終わった。
でも考えれば考えるほど答えはでない。
「あんず!お昼食べよう!!」
明星くんが元気よく話しかけてくるのと、
「あんず~、ちょっと次のライブのことで話があるんだけどぉ。」
瀬名さんが教室の外から私を呼ぶのはほぼ同時だった。
「えーっと」
どっちに行こうか迷っていると、ライブの方が大事だからと明星くんが快く引き下がった。
私は教室の外で待つ瀬名さんの元へ駆け寄った。
少し衣装のことについて話し込み、その話はすぐに終わった。しかし、私はそこであることを思い付いた。失礼かもしれないけれど、頼めるのは今のところ彼くらいだった。
小声で相談した。誰にも聞かれたくなかった。
「あんたがいいなら別にいいけどぉ?」
「ほ、本当ですか!」
「本当本当。んじゃ、今日の放課後から早速やるよ。」
案外快く承諾してくれた。私はよし、と放課後に向けて気合いを入れた。
放課後。私は瀬名さんが待つ3-Aの今日へ向かった。そこには、瀬名さんだけでなく月永さんがいた。
「うっちゅー!!」
「あ、あの………?」
「俺と二人よりましでしょ……。コイツなら遠慮しなくていいだろうし。」
どうやら気を使ってくれたらしい。
私が瀬名さんに頼んだこと、それは…………
『男子に最低限、触れることに慣れるよう協力してください…!』
だった。
「さて、協力する前に………聞きたいことがある。」
「聞きたいこと?」
「何で男子に触られるの嫌なんだ?」
ニュッと月永さんが横から割って入ってきた。その質問に、しばらく閉口した。
でも、頼んだのはこちらだ。答えないといけない。
「…………中学一年の、冬のこと、です」
上手く話せるだろうか。今思い出しても嫌なことだ。