第47章 何事にも屈しないけれど時には泣いてしまいそうになる 衣更真緒
「よーしドッチボールやるぞー。A組とB組に別れろー」
男子の中一人だけ女子。
投げようなんて思わないし勝つなんて思わない。
「おらぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「ひゃー!!ガミさん手加減してよぉ!!」
「ボールが全然見えないんだけど!!……ってあんず!?」
「果たして、避けるということに意味があるのか…」
「悟り開いてる!?」
運動できないのに避けたって意味がない。むしろ当たって外野に行きたい。
「ちょっとコーギー!!あんずに当てたら許さないからねッ!!」
と言いながら外野にいる朔間が遊木くんに当てる。
遊木くんが外野へと走っていく。
今のところこちらが優勢だが、わりとB組って布陣が最強。
豪速球の大神くん、キャッチもできるし投げれる伏見くん。避けるのが上手な鳴神くん。避けるというか逃げ回ってるに等しいけど絶対当たらない影平くん。衣更も運動神経良いし……
と言っても、こっちも負けていない。
「我の魔球を受けるが良い!!」
「俺に任せろ。」
チート級の神崎くんと乙狩くんのお陰で優勢だった。
まあ楽勝かな、と思っていた。
それが駄目だった。
「ゲッ!!」
どうやら手がすっぽぬけたらしい。大神くんがしまった、と顔を歪める。
ボールは私に向かって飛んでくる。でも私には、避けられるほど俊敏な動きは出来なかった。
結論を言うと、綺麗に私の顔面にクリーンヒットしたのだ。
「顔面はセーフだよねッ………!?」
その跳ね返ったボールをキャッチし、乙狩くんにパスする。
「いけえええ!!大神くん狙いじゃあああああ!!!!」
「了解した」
「ちょ、ま…!わ、悪かったってあんず!!ぅああああああああああああああ!!!!!!」
今度は大神くんの顔面にクリーンヒットする。乙狩くんが振り返り、これで良いかと聞いてくるのでグッと握った右手の親指を立てて返した。